ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 終電

どるとるの部屋


[8026] 終電
詩人:どるとる [投票][編集]


適当な席に座る
項垂れて少し眠る
がらがらの車内
窓は夜を映してる

星を並べた 空と月を浮かべた水面
曖昧な線のその間にある世界

レールはどこまで続いていくのか
電車は走る 夜の闇の中をガタゴトと

終わらないような気がした悲しみも
置いていくことが出来るなら

忘れることが出来るならばいいなと
ふいに思っただけ 思っただけだ

終電間近の電車
まばらな人いきれ
様々な人の暮らしを乗せた電車は走る

涙と笑顔のつまらない物語を
筋書き通りに辿りながら読み進めて

なくした何かに 別れた誰かに
もう一度出会えることが出来るならば

片付かない宿題も 置いていくことが
もしも 出来るならば

肩代わりしてくれると言うのなら
この退屈もまた いいなと思っただけだ

終電間近の ホームに灯る明かりの 侘しさ
暗がりを ぼんやりと浮かばせてる

ポケットで 鳴った電話
探り探りの 間違い探し
謝る言葉を 考える

終わらないような気がした悲しみも
置いていくことが出来るなら

忘れることが出来るならばいいなと
ふいに思っただけ 思っただけだ

でも全てを忘れるにはあまりにも
きれいな思い出だから

もう少しこのまま
この揺れに 僕は
まかせて 旅を続けようと思った。

2016/07/07 (Thu)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -