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どるとるの部屋


[8044] 無口
詩人:どるとる [投票][編集]


誰かに会いたくなる 夕暮れの帰り道
ポケットにしまった寂しさが早くも はみ出してる

泣きながらだってかまわないから
僕の話を聞いてよ

少し優しくなるために 僕は悲しみを 知ろうと思う

目には見えない あなたの傷跡を
この町に暮らす いくつもの
数えきれない人々の営みを
隠した痛みに 僕はそっと
目をこらしていたいから

回るレコード 針を落として溢れるメロディ
包み込むように 町に流れる チャイム

迷いながらだってかまわないから
生きている 喜びに気づいておくれ

ただの人間でいたい 誰かに思われたり誰かを思うような

本当は 泣き出したい気持ちを
必死になって こらえている
大人になろうとすると無口になる
冷ややかな 眼差しの向こう側
優しい 君を知っている
笑うと案外 可愛いんだよ

時計から 逃げることはできない
追いつかれてしまうよ
どんなに走っても無駄らしいから
たとえばもて余した優しさで
誰かを 愛してみる
たまには誰かに愛されてみる

目には見えない あなたの傷跡を
この町に暮らす いくつもの
数えきれない人々の営みを
隠した痛みに 僕はそっと
目をこらしていたいから

本当は 泣き出したい気持ちを
必死になって こらえている
大人になろうとすると無口になる
冷ややかな 眼差しの向こう側
優しい 君を知っている
笑うと案外 可愛いんだよ。

2016/07/12 (Tue)

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