ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 最終便

どるとるの部屋


[8063] 最終便
詩人:どるとる [投票][編集]


疲れはてたようなお客さんを乗せて走る
最終電車もあと二本くらいを残すばかり

空はもうすっかり暗くなってしまった
星を散らした 夜がそこにはありました

寂しいなんて声は 口が裂けても言えない
強がることでしか自分を形にできないから

歳を食うと疑うことしか知らなくなる

信じられないものばかりが増えていく

何を信じ何を疑えばいいのだろう

嘘と本当が混じりあったような世界で

疑うくらいなら信じあう人なんていらない

悲しみを 知りすぎた心が傷を抱いた
もう人生を悟ったような顔をしています

最終便が出てからまもなくこっそり
改札を出て泣いたのを誰も知らない

死にたいよなんてありきたりな弱音は
口が裂けても言えないよ 恥ずかしくて

多分大人になろうとしすぎたんだね

似合わない背伸びなんかして傷ついた

愛を計算しようとして間違えた

正しさも間違いも曖昧な世界では

正しくいようとすることは滑稽だ

道しるべを頼っていたけど
最初からそんな道しるべはなかった
僕は 思い込みによって生かされてた

歳を食うと疑うことしか知らなくなる

信じられないものばかりが増えていく

何を信じ何を疑えばいいのだろう

嘘と本当が混じりあったような世界で

疑うくらいなら信じあう人なんていらない。

2016/07/19 (Tue)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -