詩人:どるとる | [投票][編集] |
今はもう戻れない
あのころの匂い
まだおぼえているよ
時々今でもたまに
思い出してみる
あのころの景色
まぶたを閉じて
はるかな旅に出る
夜空に輝く星を探すようにあのころの記憶ひとつひとつ思い出す
昔の扉を開けば
ほら 悲しいこともよみがえる
でも 仕方ないよ
だけれどね ほら 輝いてる ほら ほほえんでいる あのころの僕がいるよ
今はもうない あのころの匂い
あのころ吹いてた風
懐かしすぎてさ
涙が出るんだよ
思い出せない記憶がほら僕を涙で濡らす
昔の扉 閉めて
また 夢から覚めればそこは大人になった僕がいる世界
鏡に映る僕は少し老けたかな
なんてこと言いながらベッドに横になって漫画を読んでもまだ胸のあたりがざわざわする
夜の窓から見える夜空の向こうにあるような気がするけれど
きっと幻さ 幻じゃないはずはない
昔話の中にあるようなきらめく何かを
今まで 探してきたんだ
素敵な人との出会い
素敵な出来事の始まり
でも 現実にあるのは悲惨なくらいおなじことの繰り返し
日常はまるでベルトコンベアーの流れ作業
でも 思うのさ
今は今で
あのころにはない
素敵な光や
匂いがあるって
あのころには戻れやしないけれど
今を生きていて
なんだか幸せ
僕は幸せだ
なんとなくだけれど
そう思うよ 僕は
ねえ 夜空に今見えた流れ星にとっさに願った 願いを教えよう
今が何十年後にきっと昔を懐かしんでるように素敵な今になるようにって願った
きっと繰り返すのさ
昔はいいなという思いは 今昔を懐かしむように きっときっとずっと先で今を懐かしむだろう
過ぎ去る時は
懐かしさとともに
切なさを置き去りにするように そっと残していく
憎いくらい そっと涙さそうよ
昔の扉 また 今夜も閉めるとき こぼれたように
その涙が流れ星だった気もする。