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どるとるの部屋


[821] たばこ一本
詩人:どるとる [投票][編集]


遠い 遠い 旅路の果てに何を旅人は残すのだろう
今は若い まだ若いから 風に吹かれているのが一番似合ってると誰もがいう
自由すぎるまでの毎日の中で 種を今蒔いておかなきゃ 未来になってから種を蒔いても咲く花なんかありゃしない
そんな厳しいこともたまには言われる

いくつもの意見や
いくつもの偏見に
頭をごちゃごちゃにしながら 歩く僕は風の中 しばらく動けないまま 青春のとあるページの角っこあたりで立ち往生してた

旅人は今日も大人の真似してる たばこふかして でも 体に合わず せき込んでる
それでも 吸い続けてる

大人と子供の境界線に立って
まるで かかしみたいに 俺は大人なんだって 言い続けてる
でも都合のいい時だけ子供になる

レコーダーからはいつだって懐かしい90年代の歌が流れてる
それさえ無視して今を生きるのに忙しいふうな 現代人よ
たまには思い出せないのかい? 昔を…

過ぎ去る日々にいつも金より大事な時間を奪われて
もう 思い出も何もない 時の羅針盤の上で秒読みするだけで年が変わる

くそも味噌もおなじ土俵に立たせて
幸せも不幸せもとうとう違いがわからなくなってただ涙する僕はうつろに魂の抜け殻 幽霊みたいさ

たばこ一本分の命
尽きるまで
旅人は春夏秋冬
季節を選ばずに
一年中泣いて
一年中笑うよ

今日も夢と現実の境目をしばらくただよって何分かののち
夢に沈む
トロンとした意識はやがて 夢の世界へ

旅人は今日も他人の真似してる お酒を呑んで でも 体になじまず もどしてる
それでも 必死に大人になろうとしている

たばこ一本分の時間
終わるまで
旅人は東西南北
方位を選ばずに
一年中泣いて
一年中笑うよ

なんだかんだ言いつつもその時にしかない光をなんとなく感じてその感動を人知れずこぼす

もうすぐ僕も成人です
何か変わるかな。

2010/01/02 (Sat)

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