詩人:どるとる | [投票][編集] |
僕らは言葉もなく なすすべもない寒さにふるえた
今持てるだけの温もりあるだけ持ち寄って
慣用句みたいな 「愛してる」なんかよりも
もっと心を近づける方法はないかな
まだ来ないかなって もう少しかなって
三番線のホームで君を待っているんだ
最終よりいくつか手前の電車から降りてくる君に遠くから手を振って
どれだけ寂しかったのか 説明するより先に
君を見つけた僕は 安心して
大人げなく泣いてしまったんだよ
寒いから首に巻いてねと手編みのマフラー
僕の好きな色を知っている 君は赤い毛糸を選んでくれた
刺繍が 入っている世界にただひとつのマフラー
君の手には絆創膏が何枚も貼られてた
見上げた夜空に 流れ星がひとつ
祈るのは勿論 君の幸せ
歩幅をいちいち合わせるほど できた人間ではないけど
何度も振り返って君を気にする
ちゃんとついてきてるか心配だから
仕方ないから手をつないでもいいよ
本当は僕がただ手をつなぎたかっただけ
積み重ねた 時間の中にある
思い出が 両手の指でも数えきれないほど増えたよ
そしてまた ひとつ何気ない言葉や仕種が
思い出になってく
僕は今さら 当たり前なことに気づいたんだ
僕は本当に君が好きなんだってことに
気づいたらなんだか恥ずかしくなった
最終よりいくつか手前の電車から降りてくる君に遠くから手を振って
どれだけ寂しかったのか 説明するより先に
君を見つけた僕は 安心して
大人げなく泣いてしまったんだよ
いつでも君が 僕に笑いかけてくれることが
幸せで それを確かめるたびに 泣いてしまうんだよ。