ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 風の上の足跡

どるとるの部屋


[8379] 風の上の足跡
詩人:どるとる [投票][編集]


煙草を 二、三本吸ったあたりで夜が明けた
窓の外にある ありきたりの景色に
投げ掛けた 問いかけは転がる石になって
やがて 穴の中に落ちてしまうだろう

声に出さないと 気づきもしない愛とか
冗談じゃないわと 駆け出した

その背中に 映してた空は くすんで
寂しささえも 笑い飛ばしていた

目の前にあるものがこの世界の すべてなら

過ぎた時間や 写真の中の人々は
生きた 足跡さえ風に消えて

明日の 旅にはついてはこれず

地図を広げても 行き先は ぼんやりとした霧の中
踏み出した道だけが 地図に記されることを知ったのは
つい最近のことだったりするんだ

ため息さえ 吐き出せば 空気を揺らして
小さな風を 起こすよ

旅立とうと 綿毛が野に放たれた日
見送る人は誰もいない 影も形もない

泣いて笑った 今日の思い出は

明日になれば 記憶から遠ざかって
忙しさのあまり忘れてしまうよ

風の上に吹きさらしの足跡だから

行き先も知らない電車に飛び乗って
僕は 何処でもない何処かを目指した

宛もない 旅の行く末を占う花びらは
最後の一枚になるまで千切っても答えは 出ないよ
そんな思案は 往生際が悪いよ

その背中に 映してた空は くすんで
寂しささえも 笑い飛ばしていた

目の前にあるものがこの世界の すべてなら

過ぎた時間や 写真の中の人々は
生きた 足跡さえ風に消えて

明日の 旅にはついてはこれず。

2016/10/25 (Tue)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -