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どるとるの部屋


[8388] むすんでひらいて
詩人:どるとる [投票][編集]


夕方あたりから 降りだした雪
積もるかな 積もらないかな

明日の朝になったらわかるよと
笑った君の顔が 今も浮かぶよ

何も特別なことなんか なくたって
幸せは いつだってすぐそばにあった

吐き出す吐息が 白く染まると
二人の歩幅も ぐっと近くなるよ

屈まないと キスもままならない
背が低い君を からかって笑った

無邪気な 二人の 思い出は 万華鏡
思い返すたび形を変えて広がる

夕暮れの街に 明かりが灯る頃
いつもの 帰り道を歩く 君と僕

歩道橋の真ん中に 差し掛かったら
沈む夕日に 一緒に手を振ろう

今日一日あった 出来事を 教えてよ
お疲れ様 お互いに体を労ろう

寒さのせいで 呼吸が思うようにいかない
むすんでひらいて 悴んだ手を 慣らす

見上げた空に 星を見つけたら
まず誰よりも先に君に教えるよ

ものの数分でメールが 返ってきて
「いつもの時間に いつもの場所で待ってる」

積み重ねていく 一分一秒
次第に それは思い出になっていく
今日、僕らは 少しいつもより
なぜだろう きらめく街並みに酔わされ
クリスマスのケーキなんか 食べてる
約束しよう 僕が君を幸せにするよ
そんな 使い古された台詞から始まる恋
この銀の指輪を 君の指に 似合うかなあ

吐き出す吐息が 白く染まると
二人の歩幅も ぐっと近くなるよ

屈まないと キスもままならない
背が低い君を からかって笑った

無邪気な 二人の 思い出は 万華鏡
思い返すたび形を変えて広がる

渡す タイミングを逃さぬようにと
勤めたけど うまくはいかないなあ

それでも笑ってくれる君だから
僕は多分 恋をしたんだと思った。

2016/10/27 (Thu)

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