ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 死する月

どるとるの部屋


[841] 死する月
詩人:どるとる [投票][編集]


もう何度も目にしているから見飽きてしまった
あのまん丸い月
平凡な夜空にただ浮かんで煌めいてる

生きてることなどくだらないことだとは思わないけれど
なんだか
このごろ自分が生きてることに疑問があふれて止まらない
なぜこんなに悲しいのに
傷だらけになっても僕はなぜ生きてるんだろう
そんなふうに思って…

なんてことない今日だ
話すまでもない今日だ
くだらないくらいの今日だ
だけれど僕にはかぎりなくかけがえのない今日には変わりないね
だからこそ僕は生きている
だからこそ明日も生きてゆく

あの月が輝いているみたいにさ
僕も義務じゃないけど
まるでひとつの使命みたいに生きているよ

何ひとつできやしないかもしれない
でもここにいる自分を愛すことであたたかみを感じるからずっとずっと生きていける
そんな気がする

「生きてるから生きる」から
「生きるために生きる」に変わり
「生きたいから生きる」に変わった

僕は明日も生きてるから生きるんじゃなく生きるために生きるんでもなく生きたいから生きるんだ
生きてゆくんだ

ここにいる僕は嘘じゃないよ
自分が信じないで誰が信じてくれるの?

ああ、
なんてことない今日だ
話すまでもない今日だ
くだらないくらいの今日だ
だけれど僕にはかぎりなくかけがえのない今日には変わりないね
だからこそ僕は生きている
だからこそ明日も生きてゆく

あの月も輝きたくて輝いてるわけじゃない
そう思っているかもしれないけど
僕はこの与えられた命と死する運命に感謝したい
こんなに素晴らしい世界はない
悲しみに並び立つ喜びがあるのだから
繰り返す日々の中でかならず生きていれば喜びに出会えるから

僕は明日も生きてるから生きるんじゃなく生きるために生きるんでもなく生きたいから生きるんだ
生きてゆくんだ

全てを知った上で死する月として輝くよ。

2010/01/04 (Mon)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -