詩人:どるとる | [投票][編集] |
吐き出す吐息さえ白く 染まる
冬の 街並みは 凍えるほど寒くて
一人きりじゃ とてもいられないよ
自販機の120円の 缶コーヒー
火傷しないように 冷ましながら
見上げた夜空に 星を見つけた
誰かを思うときは 人は空を見上げるらしい
だとしたら僕は今 誰を思ってるんだろう
粉雪が舞う駅前 表通りの 大きなツリー
誰かが ささやくメリークリスマス
便乗するのは あまり好きではないけど
僕は 照れくさそうに口笛を吹いたの
仕事は 順調だよ 嘘を重ねていくよ
求人雑誌と エロ本を交互に見る日々
心の寒さをごまかすように 出掛けた
映画館で 適当に選んだ 今話題の映画
家族ものの 心あたたまる映画だった
泣く人がいる中で 僕は一人寝ていた
恋をする 余裕もないくらい忙しいなら
一人の孤独もまだかっこつくんだろう
分厚い手袋と 色褪せてしまったコート
ソリを引きずって歩く 子供のきれいな瞳
僕はどんなふうに映っているんだろう
吹けもしない口笛を吹いている
いつまで叶わぬ夢を見ているんだろう
行き交う人は皆おそらく僕よりはずっとマシな 毎日を送っているんだろう
百人いたら百人を 僕は 羨んで 同じだけ憎んでしまうよ
粉雪が舞う駅前 表通りの 大きなツリー
誰かが ささやくメリークリスマス
便乗するのは あまり好きではないけど
僕は 照れくさそうに口笛を吹いたの。