ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 現実の前に倒れた理想の未来

どるとるの部屋


[889] 現実の前に倒れた理想の未来
詩人:どるとる [投票][編集]


もし子供のころの僕に
大人になった僕から何か助言とかができるなら何を言うのかな
べつに間違いなんて何もないとは思うけど
どう転んだって僕は僕だから僕にしかならない

だから僕のまま大人になりなさいと言うだけだ

幼い僕がおもちゃの万華鏡からのぞいたきらめく世界
少しずつ現実に汚されていった理想
理想と現実の狭間で少しずつわかりはじめてきた僕
夜明けは案外遠いぞ

指をちゅぱり舐めて
風がどこから吹いてるか 確かめて そう確かめて
地図は破り捨てて
無謀なくらい 宛もないいちからの旅を始めるよ

夢なんて変えることができる
なかったことにするのだって頭の中で消したことにすればそれでいい

幼いころは手のひらを太陽に透かした
今はタバコをふかしてる
なんだか 悲しくなるけれど

僕よ これが現実だ
受け止めようが受け止められまいがこれが現実だ しかと見よ
目を逸らすな

『現実の前に倒れた理想の未来』
そういうにふさわしい将来を今 かいま見てる ほら おそれていたことがついに起こった

それでもなぜか流れない涙
不思議にあたたかい胸

その矛盾が唯一の光。

2010/01/13 (Wed)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -