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どるとるの部屋


[961] 初恋の君に
詩人:どるとる [投票][得票][編集]


はじめて恋をしたのは
ある晴れた春の午後だった
君が笑う場面をただ目にしただけなのに
ふいに心を奪われて
僕は生まれてはじめての感覚を抱いた

胸が苦しくて
痛くて
こんな気持ちになるのなんて生まれてはじめてだったから
戸惑いを隠せずに
僕は ため息ばかりついていた

これが 初恋だって気づいた瞬間 僕の心のどこかで桜が咲くよりも早く 恋の花が咲いたんだ
遠くで見ているだけの臆病者の僕だけど
君に精一杯 恋してた
あんな気持ちはもう二度とない
そんな気がした

君が卒業する時
僕は思いきって
君のところへ行った
そして 打ち明けた思い
結果は桜が散るのと同じで 満開に咲いた恋の花びらも 悲しく切なく散った
はじめての恋にして
はじめての失恋だった

ああ 春遠く
今 また 春おとずれて僕は思い出す
あの初恋を

あれが初恋なんだって 気づいた瞬間の僕は何よりまぶしかった
今よりずっとまぶしかった
大人になって思う 君に恋をしたのは間違いじゃなかったと

階段のぼるように
僕は君のおかげで
自分の力で
恋の花を咲かせられたから
今はただありがとう
そんな感謝の言葉を贈りたい

初恋の君に。

2010/01/25 (Mon)

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