詩人:Ray | [投票][編集] |
今夜は月がめちゃくちゃ綺麗だよ って言われて
どんなもんかと思って
外へ出て月を探しに行った。
でも
僕には月を見つけられなくて
あぁ、やっぱり。と思ってしばらくそこに立っていた。
綺麗な月を見たかったのは確かだけど
そんな月を見るのが恐かったのも、事実。
神秘的なものに僕が与えられるのは
癒しではなく
空虚感だから。
月が放つ繊細な光に
きっと僕の影は
よりいっそう
その濃さを増してしまうだろう。
世の神秘をいつまでも追い求めたいと人は願う。
綺麗であれば綺麗である程、その神秘は絶賛される。
そんなことはいくらでも有り得るのに、
何故だろう
僕には哀しくてたまらない。
今夜 月を見つけられなかった僕。
それがもし運命と呼ばれるなら、
それこそが世の神秘であると、僕は考えた。
涙がこぼれた。