詩人:灰色 | [投票][編集] |
逃げるように、町の喫茶店
チェーン店
誰も他人を気にしない、一人ぼっちばかりの店
たいして美味しくはない珈琲
やめられない煙草
呼吸を忘れるたびに火をつける
イヤホン
音楽で世界を閉ざす
目を瞑って
忘れられない何か、忘れてしまいたい些細な何かが頭の中で反響する
息ができない
眠い
こわい
「落ち着きなよ、大丈夫」
小声で言い聞かす。
誰も私を見ていない、誰も私のことを知らない小さなチェーンのコーヒーショップで涙をこらえて、息をして、
そうやって、削れた心の削りかすを拾い集めて生きている。