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壬治の部屋


[98] 共犯
詩人:壬治 [投票][編集]

突然にはじけたように
その名前が、こころを支配する

意味深な言葉と不敵な笑みは
彼女を思いだす
いちばんのヒント。


ただの友達っていわれれば
確かにそれまでだった
けど

でもそうじゃない
きっと、そうじゃない

そう感じてたのは
私だけじゃないはずなんだ


思春期そのものだった二人

互いを人質に取るような

細い糸のうえの
我慢比べみたいな
そんな悪癖がいつも絶えずあって


つかず離れずな距離に
安心したり不安になった

うそをついたり、裏切ったり

異様な駆け引きもしたね

そして私たちはそんな遊びを
心から愉しんでいた


そんな彼女も歳を取って
どこかで母になったと聞いたけど

その先のことは知りたいような
知りたくないような

...妙な気分!


思いだすのはいつだって
飄飄とした横顔ばかりなのに

あの一瞬の微笑みに
いったいどんな意味が
あったっていうんだろう...


ときどき、考えることがある

あのときの私たちは
多分どうかしてたけど

だけどあの頃が
一番面白かったよね

そう感じていたのは
わたしだけじゃ、ないでしょ?


だって
黒と白の二択じゃつまらない
おなじ迷路を愉しむ奇跡を生きてる!

胸を熱くさせるのは
きっと、こんなとき...


すこし肌を刺す夕風が
秋を知らせてる
今年もまた逢えない夏が過ぎたんだ

彼女の誕生日はもうすぐ

もし、あなたも私のことを
思いだしたりすることが
あるのなら...もし、あるのなら...

うれしいな

2015/09/30 (Wed)

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