詩人:はちざえもん | [投票][編集] |
穏やかな日々の 泡沫の午後 夏と緑と蝉の声 貴方に手向ける赤い花
穏やかに日々が 過ぎてゆく 先立った貴方の 声は緑にこだまする
過ぎ去りし日々の面影 かくも短く 思えば長し 高く高く入道の雲
老い諂えてなお 現世に独り 悠久の時を 友にする
先立つ貴方の面影を 一頻りこの身に準える
穏やかな日々の 泡沫の午後 遠く響くは遠雷 夏の匂いをかぐわせて
老い去りし日々の 記憶を辿る日々 雨上がり 夏と緑と青い潮
貴方の元まで 余暇、幾重 高く入道の雲 日々是過す也
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不都合な朝に 僕はアビリーンに問う
パンドラの箱には何が残ったのか
古典派が口を挟む 「その問いは無益だ。」
不都合な朝に 僕はトーストとハムエッグ
心の有効需要が 少し足りない
色の盲者と化した左眼の不都合を思う
覚めない夢は現実なのか 夢は夢でしかないのか
いつかマルクス先生に問うた僕の唯物観
不都合な朝は 僕を衝動へと駆り立てる
ゼッペリンのサウンドの後で モーツァルトを愛するような歪な感情
左眼の幻影肢 不都合な朝はまどろみの底
タンスの角で小指を打つような 余裕が欲しい
仮定の仮定を反駁しては やはり無益な動揺を思う
いつか右眼まで侵食しえる不都合が きっと僕のペシミズム
「秋の木の葉は大概落ち尽した」
アビリーンに問うた 僕の想いは
漠然とした不安と 言い聞かせる根拠のない自信
深く深く加速度的に落ちてはまた
繰り返す恐怖 ウロボロスの螺旋
永劫回帰する不都合な朝
ショーペンハウアーと朝食を取ろう
左眼を閉じて色の差し込む世界を泳ぐ
いつしか全て失う前に 覚えておきたい色がある
不都合な朝ゆえに僕は 少し着飾って出かけよう
心に残し置きたい色がある 全てを失うその前に
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時々ありもしない不安に襲われることがある。
それは歳に似つかない、空想めいた陳腐な不安。
この頃、体調が良い。季節は少しずつ色褪せてきている。
でもそれに逆行するように街は段々と鮮やかに飾りつき始めて、
幸せそうな顔が二つ並んで歩いていくのを僕は少し離れてみている。
君を待つ時間は少しも苦にならない。
おそらくそれは想像が期待のほうにしか顔を向けていないからで、
こんな瞬間にも、僕は自身の心境の変化に戸惑う。
考えなきゃならない課題など、心を病みそうなほど思い悩んだ人類の愚かしさなど、
いつの間にかどこか押し込めていてしまっていて、
青い空さえ歪んで見えていた以前の僕はここにはない。
でも最近、ありもしない不安に襲われることがある。
それは今までの自分にはおおよそ似つかない幼稚な不安。
幸せがすぎて全て嘘に見えてしまう。
満ち足り過ぎて現実が嘘に見えてしまう。
全てが僕の想像なんじゃないかなんて、そんな愚かな想像。
とうとう頭に焼きが回って現実と想像の区別がつかなくなったんじゃないかなんて妄想。
でも、あながち間違っちゃいない。これはある種の虚像。
感覚を麻痺させたのはおそらく君の存在。
いや、これだけは間違いなく、君の存在。
君が僕に向ける笑顔が僕の思考を停止させて、
ただ無駄に心臓の活動を促す。
それは僕には寧ろ恐怖であって、
それ以上に僕を掻き立てる原動力でもある。
僕はひたすらに君の笑顔を享受して、
でも僕は君に何を与えることが出来るだろう?
いっそこの張りぼての体、全て本当に嘘だったならばと、
本当に下らない事を考える。
でもそれを一方的な愚などとは思わなくなったこの頃は、
やはり君に麻酔をかけられている証拠だね。
着飾った街を並んで歩いていく。
幸せが過ぎて何もかもが嘘臭く思えてくる。
きっと僕は君の本音が知りたい。
それはきっとあまりに単純な衝動。
君が笑顔以外の返答を有していない事なんてわかっているくせに、
僕は衝動を押さえようとしない愚かしさ。
「考えすぎよ。」と君が笑う。
今の僕にはそれで良いと思うんだ。
今の僕にはきっとそれで十分なんだ。
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戦跡で焼きついた鮮やかな青 揺れる車体で物思いにふける 窓辺で移ろう街の光 世界は時に全てを内包したかのように振舞い また時に別世界のような印象を僕に与える 時々感じる虚しさは 焦れた心の諦めの部分 煌びやかな街灯は 空虚な胸のうちを照らす
吐息が白く宙を這う 街路樹の道 笑う彼女の横顔 無関心な人々の群れ 飽食の僕らは空を仰ぐ 忘れたほうがいいのだろうか 忘れてしまってもいいのだろうか 無力を痛感して何になるのだろうか 結局、何の答えも出せぬまま 平穏な街角 浮かれた声にハッとする 着飾った街の中 聖女の歌声が響く
満ち足りた僕らに 聖女が歌声を響かせる
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メディアのニュースが高いところから何たるべきかを声高に叫ぶ その際身内に甘いのはご愛嬌 俺はそれを批判しかできない屑だと吐き捨てる
意味もなく憤りが天を突く 俺のそれが偶然、そこに向かっただけのこと それ以上に深い意味を持たせるとすれば そこにいる俺も誰も彼も人間だってことだ
それは絶望にだって言えるし 或いは希望に捉える事だって
気狂いピエロが呟く 気狂いピエロが声を上げる 気狂いピエロが叫ぶ 気狂いピエロが倒れる 気狂いピエロがのた打ち回る 気狂いピエロは苦悶の表情 気狂いピエロは求める 「誰ぞや、我に救いを」 俺は当然のように その前を横切るだろう
そんな俺自身 そんな人間を省みることはこの僅か 闇に佇む一瞬の傲慢
自分を傷つけることでしか生を実感できない輩など 寧ろそのまま死んじまえばいいんだ、なんて 一瞬でも思う小さな部屋
そんな悪意が 一瞬の悪意が いつ僕の本意に変わるかなんて 先生もかなり悪どい罠なんて仕掛けたもんだ
狂ったようにしか自己を表現できない僕は 傷つけるよりもタチの悪い
先生。貴方は何を悩まれていたのでしょうか? そのまま逝かれてしまうのは 少々、卑怯に思われてならないのです。
意味なんて考えないでほしい 俺にだってわからないんだ 時々何もかも壊したくなる衝動 別に珍しくもない症状 オカシクなれない僕はこうやって振り切るしかないんだ
嫉妬とも憎悪とも区別つかない醜い感情 確実に僕を構成する一部分 先生、貴方はいつだってそうでした。
画一的な偏頭痛 そうさ、この場所は いつだって他人には無関心で それでいて人間が大好きで
右腕の痺れが止まらない 先生、僕はまだまだ生きたいと思います。 案外にあれだけ嫌悪したこの場所が 僕のゆうとぴあに思えてならないのです。
先生、お元気ですか? ようやく貴方の言葉の意味なんて理解できるようになりました。 それでも僕は生きたいと思います。
先生、残念です。 貴方に心酔し、尊敬し続けた私ですが。貴方は気が付けなかったのですね。
僕は生き続けることができるまで生き続けます。 それが僕に残された貴方に反抗できる唯一の手段。
人間である以上は人間らしく、醜い自分を何処までも晒して、悪意を振りまけるだけ振りまいて。それで最後に呟いてみたいのです。 貴方の教え。
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星空の輝く日没に願いを、一つ叶えて見せようか
月明かりに照らされた丘の たった一夜の夢物語
砂丘の果てで道化師が笑う
こんな素敵な夜に、あなたはどこへ行くの?
見果てぬ夢を見た少年時代
無力を痛感するたび、大人になれた気がしたんだ
君の願う陳腐で使い古された思いは
意外なほど人類共通の願いさ
砂丘の果ての道化師が頷く
こんな素敵な夜だ、さぁ武器なんて置いて
今宵は皆で踊り明かそう
ジョン・タイターも知らない未来
その陳腐な理想が実現しないなんて
誰も言い切れないだろ?
砂丘の果てで道化師が唄う
こんな素敵な夜を、諦めていたくはない
なぁに、不可能なんてないさ
そういうもんだろ?人間なんて
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月明かりよりも眩いものを 未だ見たことがない
深い闇を僅か映す 灯火
丘から見る白い町並みは やはり異国
交わす言葉も また異国
今宵の綺麗な月明かり
あぁ、故郷で見た 昔見た あの匂い
夏に埋もれた詩を歌う
失くしたものの空白の埋め合わせに
月明かり 静寂を守るよに そこに佇むばかり
僕はといえば 孤独に怯える逃亡者
意味もなく微笑むように そこに佇むばかり
夜風は波音と共に 少なからず僕を狂わせたsmile
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気狂いと蝉時雨
時々、何もかも虚しく思う
意味の不在を否定したい
革命前夜の狂騒曲
さぁ今日もまたどこか
戦車やなんやらドンパチ ドンパチ
些細な小石につまずいた
気狂いに道化師が笑う
振り上げた凶器を
思い切り叩きつけた
何度も何度も 叩きつけた
ただ 固まりきらないモノがあって
俺にとっては大切なモノであって
他人にとっては ただのガラクタであって
「手を伸ばせ」
誰かが隣で囁いた。
そう、焦燥 未だ立ち尽くすは 壁。
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砂塵巻き上げた後で緩やかに笑う
傷痕を隠せば二つ 染み入る涙の螺旋状
戻れはしない旅路告げ 戦地に赴く箱の中
思い出しては告げる 母の顔
片道切符の夢飛行 涙に滲んで笑えない
勇んで飛び入る夏の虫
夕刻の高揚 口にはすれど
思い出すのは 父の顔
重なる夕陽に 笑えない
紙、風吹きて舞い上がる 燃えて墜ちるは一滴
狂い狂いに空を這う 片道切符の走馬灯
この場所の 空を愛した 海を愛した 山を愛した 里を愛した
人を愛した
ただそれだけのこと
ただ それだけのこと
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雲の流れるままに
当てのない旅などしたいと
子供のような事、考えている
僕の少年の頃は
当てのない旅に憧れて
この刺激のない退屈な毎日はクソくらえだ、などと
教室の窓辺で流れてく雲ばかり、眺めていた
今、少し、思い返してみると
あの頃は先の見えない将来への不安なんかも
この先もこんな退屈な未来しか待ち受けていないんじゃねぇかなんて
そんな事ばかり考えていたような気がする
そんな鬱屈した生活を続けながら僕は
生まれついての出不精なんかも相まって
小さな町の中で、更に小さく背中を丸めていた
夕立の匂いは夏の匂い
風が頬を叩く音など聞く
雲は表情を変えて尚
ただ気の向くままに
あの頃の僕は、
自分以外の全てに抵抗しなければ、自分の存在が稀薄になるような気さえしていた
やがて少しずつ少年は大人へと近づき
順応する気持ち、孤独の芽を紡ぐような作業を繰り返す
いつしかそれさえも、別にいいんじゃねぇか、なんて事さえ、思うようになってきた
少し誇らしく なぜか寂しい
あぁもう
散文的過ぎて意味がわからない
舞われ廻れ回れまわれ
言葉遊びはもう仕舞いだ さぁ 本音を語ろう
わからないことばかり でも考えることはやめたくない 単純な答えかもしんないけど 今、君に言えるのは...
時々、胸躍らされる退屈な日々と いえば正しく伝わるだろうか
変わり映えはしないけど それも嫌いじゃない
たぶん そんなとこかな 今、君に言えること
やがて雲も途切れて消える
知らなかったんだ
そんな事さえも