詩人:はちざえもん | [投票][編集] |
不都合な朝に 僕はアビリーンに問う
パンドラの箱には何が残ったのか
古典派が口を挟む 「その問いは無益だ。」
不都合な朝に 僕はトーストとハムエッグ
心の有効需要が 少し足りない
色の盲者と化した左眼の不都合を思う
覚めない夢は現実なのか 夢は夢でしかないのか
いつかマルクス先生に問うた僕の唯物観
不都合な朝は 僕を衝動へと駆り立てる
ゼッペリンのサウンドの後で モーツァルトを愛するような歪な感情
左眼の幻影肢 不都合な朝はまどろみの底
タンスの角で小指を打つような 余裕が欲しい
仮定の仮定を反駁しては やはり無益な動揺を思う
いつか右眼まで侵食しえる不都合が きっと僕のペシミズム
「秋の木の葉は大概落ち尽した」
アビリーンに問うた 僕の想いは
漠然とした不安と 言い聞かせる根拠のない自信
深く深く加速度的に落ちてはまた
繰り返す恐怖 ウロボロスの螺旋
永劫回帰する不都合な朝
ショーペンハウアーと朝食を取ろう
左眼を閉じて色の差し込む世界を泳ぐ
いつしか全て失う前に 覚えておきたい色がある
不都合な朝ゆえに僕は 少し着飾って出かけよう
心に残し置きたい色がある 全てを失うその前に