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タンバリンの部屋  〜 新着順表示 〜


[46] 雨の日ブーツ
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もう随分雨は降ってて
商店街 僕は一人歩き
ジーンズの色が、雨色に染まってる



時々、人生に見えるんだ。
庇の下や、丸い葉っぱの木の中で
一休みしたら、また濡れに行く




煙草は恋人、くちづけしなきゃ
すぐに消えちゃう、灰を残して。



緑色の傘は、錆びていたから、バスに乗る時投げ捨てたよ。
バスに乗る時投げ捨てたんだ。

錆びていたから
灰を残して
消えていくんだ
灰を残して


2006/08/12 (Sat)

[45] 人殺しの四日間
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もう四十回も四日前


  南京錠、錆びて茶色のドア


駆け出す様にトビラを閉めた


  悲鳴はその度に聴こえた



割れた半月、ガラステーブル


  噛じり飽きたレモン捨ててきた




「行かないで、行かないでよ!」って、


  お前はすぐ笑い話にするけれど


  こんな事まで茶化すなよ




乾いたレモンの散り際の


  香りで僕は思い出す



「行かないで、行かないでよ!」って、



二、三個コオリが溶けた時


  自分の声だと知ったんだ


2006/08/03 (Thu)

[44] ニコレットを噛む前に
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みたらし団子で殴れば

シュークリームが飛んでくる


そんな甘い、季節の奥には


信念があって。

愛とかそういう言葉にならない


信念が、あって。


サバシティカルなカンカクは、


そう、ミルクがコーヒーに溶け込んでいく。


それを見つめていればいい、それだけのカンカク。



無くなってしまった、なんて。


誰が言うのさ


欲しい怒鳴り声



泣いてるじゃねえか
    誰が泣かした。



簡単過ぎる事、


それはとってもむずかしいこと。



自分の事、棚に上げるだとか


言ってる事、矛盾してるだとか



そんな会話の通じない場所で、



ヤンキーが叫んだ。




見習えチョイ悪オヤジ

2006/07/03 (Mon)

[43] なんだっけ
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なんだか通り越してしまったような


後戻る気がして悔しいだけのような



不味い氷を噛みながら


僕は今ジッパーを下ろしている



サバンナはとても、乾いているんだって



なんだっけか。あの月のなまえは


なんだっけか。幼稚園の頃のあだ名




当然不味い、水なのか。


2006/06/29 (Thu)

[42] 殺虫剤、キャットフードカステラ
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「ねぇダーリン。人はもう、


人間はもう美しくないんだって。


あの男の人が言ってたの。」



もう、美しい筈がないんだって。


泥まみれの野良猫の方が、どんなにか美しいって。


だから私、ひっぱたいたの。



そしたら涙が出てきたわ。



しょうがないのこんな風に。



生まれて来たの間違ってなんかないわ。




そうでしょう。ダーリン。



2006/05/03 (Wed)

[41] ショーンおじさん
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ほら、もうすぐ潮が満ちるよ。



後片付けの日が来るんだ。



だから早く仕度をして、


その小屋から出ておいで。





僕の小屋には、もうすぐ波がやって来る。誰の小屋にも来るけど、時期って決まってないから。


一週間で来たり、何年も来なかったりするんだ。気付かなかったり、大きすぎることもある。


ショーンおじさんは片腕がない。ずっと昔の「後片付けの日」に、小屋を離れなかったから。


潮が満ちたのには気付いてた。だけれど、用事がある気がしたんだ。



小屋を守ろうとしても駄目なんだって。いつもきっかけが、自分自身にあるから。




咲いたばかりのタンポポが



もう、飛び立つ準備をしてる。



満ちた岸辺が、



一度に浜辺に変わっていく。




なんだかざわざわしてきたね。こんどの波は、大きそうだね。



チャッピー、右手を噛まないで。僕はずっとここにいる。



おじさんはきっとね、体を失ったんだよ。

2006/08/14 (Mon)

[40] ラップ越しのキス
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そのままじゃどうにもならないけど



要するに僕は露出狂で



ピアノだとかギターだとか



紙にエンピツ擦り着けたりして



裸で居たい。



ラップ越しのキスみたいに現実的だよ




要するに君も偏執狂で



癖のある横文字が好きなんだ




今日は風が綺麗だね。日差しも。



目に見えるすぐそこまでは自信がついたけど、



誰も変わらない。そこから先は賭けなんだ。



2006/02/25 (Sat)

[39] ガンモゥ
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こんにゃくのぎっしり詰まった財布


ハンペンを取り出して、レジに叩きつける。



バシィッ!




とても冷たい響き。




屋台のおじさんに人間が降伏して



もう、丸二年になる。



肥やしになるとされては、家財を失った。



逆らう者は、がんもを投げ付けられた。



その度に、熱い煮汁が散った。




「出来合いの物ばっか、食うなよ。」




アルタ前に映る、おじさんのなみだ。





こうなる前に、



屋台のおでん、食べに行こう。



2005/12/21 (Wed)

[38] 指先から茫然
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やっと 僕を見たんだ



     余計な、事はしないで って。



シャチを 海に逃がした

 

     あおぞらの下へ逃がした 








アメを、水で溶いてる

 


溶けない、事は知ってる








何で 君は笑った




     取り立ての時期が来たって




何かを 空へ逃がした




     イタチごっこの気がした





ひだりて アメを入れてた




     いつのまに それをこぼした




2006/07/23 (Sun)

[37] J.Dとカフェ
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 それぞれの座席の下には毛の長い小動物が、顔を隠しながら走り回っていた。
皆煙草をふかしていたが、むしろこの店が建つ前から、嫌々生まれるべくして生まれた様な、紫の粉塵、それに構成された煙が目障りだった。

 小気味良くベルが鳴り、ミンクを纏った女が入って来た。最初のコーヒーを飲み終えたかどうかの時間だった。
レモンパイが届くと、彼女は上品に、いとも簡単に紅茶の入ったカップを叩き割った。

 店中の、黒いスーツで出来た男達は、一人残らず襟を正して、羨みの目でそれを眺めた。

 紫の粉塵は、誰にも気にされずに、しかし大胆に引火すると、雰囲気も人間も一緒くた爆破した。

 そしてまた、入口のドアやカウンターの後ろから、気分の悪い擬音をたてそうな速度で、そっと、店中に渡って浸食を始めた。

2005/11/17 (Thu)
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