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花の部屋


[31] 命 灯火
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モルヒネで
少し おしゃべりになって
黄疸がきつく
動かなくなった身体を
無理矢理起こして
私の前だからと
自力の排泄を乞う

「情けなくなった」

時折涙しながら

急に目を瞑ってしまったり
正気と幻覚の間を行ったり来たり





泣くまいか…
と 伯母の顔を見て
無理矢理微笑んだ
強く強く笑ったんだ
悲しみを吹き飛ばすように笑ったんだ

兄と慕う
伯父の息子が
私の頭を優しく撫でる
笑顔の裏側の
涙を拭いてくれた



年を経
老いゆく姿と
病気に蝕まれ
薬に侵食される
命の灯火

儚く 頼りなく

消してはならぬと

寄り添う人々の
温かい手が

まだ あなたの 命を
守っているのだと
繋いでいるのだと

浮腫んだ手を摩りながら
小さかった あの日を思い出した

悲しみを隠すように
みんな笑ってた

泣くまいか
覚悟なんか出来やしない

泣くまいか
せめて伯父の前では

みんな笑う
みんな笑う

2010/04/05 (Mon)

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