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シゲヲの部屋


[50] 共に笑った人は
詩人:シゲヲ [投票][編集]

……
…………

雨が降って
体がビショビショになった
でもあの人がいなくなった日の雨は

体とか服とかじゃなく
みんなの心に雨は沁み込んでいった


たくさん笑った
あの人と笑った
あの日々を忘れまいとして
心にこうして刻む

何と幸福なことだろうか
笑顔は顔からこぼれおちて
誰かの心に渡り

その詩を
その心を弾ませる

きっとこの大きな空の下で
青い空を見上げながら
笑っているだろうと

願って 願って
朽ちるほど
空に向かって伸び続けた木のように

満面の笑みをこぼそうか
そして忘れた頃に
誰かがポツリとつぶやく

もう忘れてしまったあの人を
見ることができなくなったあの人を

みんなの記憶の中に呼び戻そう
ただ一言

あの人が最後に残した言葉を語り継ごう

「ありがとう。共に笑ってくれて」

その瞬間
――心に その言葉が沁み込んだ

2007/06/05 (Tue)

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