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シゲヲの部屋


[51] そこの交番で
詩人:シゲヲ [投票][得票][編集]

雨が降っていました。
その日はサンダルで、歩きにくい雨の中、友達に会いにいきました。

ザワザワと人混みの中を進みます。

色んな繋がりがあってそれを振り切って、裏切ってまでここに来ました。

当たり前だけど。
少し面倒でした。
歩みを止めればいいのに、止めらない。

いつのまにか・・・・・・そこの交番に立っていました。

そいつは酔っていて、自分が誰か確認できないほど弱っていました。

自身の邪魔をするものに牙を向き、敵対心をありありと見せる。

まるで野性の獣のように。凶悪な目で自分を睨んできます。

昔・・・・・・
誰かがつぶやきました。

「夢であるように、昔のことだけを思い続けたい」

自分は笑いながら、

「夢だろう?所詮」

「夢を抱えることが出来るやつはいいさ。俺は昔の夢しか見れないから」

「昔の夢?」

「楽しかった思い出を夢見る」

夢は過去を照らし、未来を作る。
彼は遠まわしにそう教えてくれたような気がしました。

その顔は一瞬笑って、
それに答えるように自分も苦笑しました。

「良く殴られたな」

それに彼は嬉しそうにつぶやきます。

「あー……また手が壊れた。変なもん殴ったからな」

「無茶するからだ」

「人生無茶してなんぼだろ?」

そうやって厄介な縁(えにし)は続く。
死ぬことさえなければ。
生きていれば何度でも続く。

「酒、買うか?」

「いい。十分身体に入ってる。それに……傷にしみるからな」

自分だけ酒を買って飲みました。

不思議に、その酒は身体にしみることはなく、

心に、しみついてきました。

2007/06/08 (Fri)

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