ホーム > 詩人の部屋 > まとりょ〜鹿の部屋 > 投稿順表示

まとりょ〜鹿の部屋  〜 投稿順表示 〜


[242] 冷麺ちがい
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

ガッチガチの猫舌女に

アッツアツなラーメン

手作りで猫舌をもてなす。


作ったはいいが
なかなか箸を付けてはくれない。

ヤッパリな
なんて思いつつ
嬉しそうに丼を眺める女に
早く食べるよう促したんだ。

アイツはニッコニコしながら
横から流れる髪かきあげて


“私、冷麺にした方が好きなの”


勿論彼女はニッコニコしながら
首を傾げ髪をかきあげ

俺は一瞬何の事かと
振る舞ったラーメンが
可哀想になり怒りを覚えたが


アイツはラーメンを冷まし伸びきったモノを
冷麺と呼んで無邪気に笑っていただけだった。


盛岡に謝れ。
そして早くラーメンを食え。


ガッチガチな彼女に
アッツアツな俺。

麺だって何だって
熱いうちに食べるが吉

見つめる姿勢だって熱いものになるさ。


そして俺も密かに…
盛岡に謝る。

2008/03/29 (Sat)

[243] メタボリックバタフライ
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

誰が私の心に火を着けた?
きっと腰が悲鳴と共に火を着けた

メタボリック
不摂生の逆転
悩むべき腰痛
今リングに立ち上がる時

勝ち負けじゃないんだ結果なんだ
勝ちか負けかでいったらもう負けてんだ


啓発せよ
己の体に勝入れろ
騒ぐな
飯を抜くな無駄なあがきだ
動け!動かせ!体を全て動かせよ!!


人差し指と親指は菓子を摘まず腹肉摘め!


サイズが無いのを服屋のせいにすな!
優柔不断を食品売り場のせいにすな!
腰の浮き輪を失恋ストレスのせいにすな!!


誰が私の心に火を着けた?
むしろ着くのが遅すぎた位だぜ
ヒーローは遅れてやってくる
無情にも過ぎ去った時に嘆かず
ハンデ位くれてやるわと笑って体動かせ


おからはゴミじゃない
それがお前の糧となる


贅肉は贅を尽くした肉じゃない
動く事より優先して出来た優肉だ


優柔不断とものぐさの鎖を脱ぎ捨て

肉のさなぎを這い出て

私は綺麗な蝶になるわ

蝶だけに腸も軽やかに涼しげに飛ぶわ

2008/04/09 (Wed)

[244] 等身大のスケッチ
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]


帰宅する人に逆らい
西日差す坂道を一人
景色は綺麗で
スケッチに切り取れど
駅へ向かう足は憂鬱で

僕はこのまま群集に流されてしまいそうになります。


どんなに辛くても
一人が寂しくなっても

何時でも体を横たわらす布団があればと誤魔化し日々乗り越えてます。


雨が降り続いた日に君に似た人が
駅のホームで絵筆のように
湿った横髪をしなだらせつつ
まるでこの空のように泣いていました。

とても心にヒビが入ってしまったように
僕はただ一本目の電車を見送っていました。


なぁ 元気ですか?
そちらに春は来ましたか?
寂しくなったと電話をくれたら怒りますか?

なぁ 嘘でもいいから
寂しいよって言ってくれないか?

この街の音は騒がしくて耳を塞いでは
頭で繰り返す 君の名前と音


なぁ 此処にいるのが
僕じゃなく君だったとしたら
君はホームで泣いていたんですか?

梅雨なのかも春雨なのかも全く知れない
この街の小雨が要に冷たくて


会いたいと願っただけで、罪が増えるなら
僕はふるさとの絵を描いて
君の名前をその絵につけよう。

ふるさとは遠くにありて…。

2008/04/20 (Sun)

[245] 灯火
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

毎年この時を刻めば
仄かな煙が見知った顔を揺らす。

また一年
もう一年経ったと
呟く音が静かに君を囲む。

こんなに経ったのに
私はまだ少し位しか
キミに世の理を教えてあげられないけど
毎年変わらず
ここに座ってます。

キミに一番教えてあげたかった
あの時は知りもしなかった事を
今日は手紙にしたから
この台の上に置いて帰るね。

拝啓キミへ

私は奇跡を産みました
まだ名も知らない
小さな奇跡を腕に抱きました。

奇跡は希望と云う名の
産声を盛大にあげて
くしゃくしゃの笑顔で
これからを沢山思って笑っています。

私はまだ分からない事だらけだけれど
この奇跡に負けない位、沢山の希望を胸に生きる事にしました。

キミは今頃驚いて
鼻を鳴らして笑うでしょう。

奇跡と出逢えた時
不意にキミの笑顔が浮かびました。
キミと出逢えた事
それすらも奇跡だったのではないかと。


奇跡は無駄に排出される訳では無く
希望を見出す為に産まれる価値のある魂だと知りました。


そこに居るキミは
もう既に知った事とは思います
今更だと笑うかも知れません

しかし私はキミに
キミは私に
形を表さずとも
繋がる魂を互いに知れたら…


来年の今日も
また懲りずに此処に腰掛けに来ます。

2008/05/12 (Mon)

[246] センセ、ばいばい、おはよ。
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

一面浮かれたピンクの車道を定時通りにバスが潜り抜ける。

新鮮味すら失った季節の朝。
胸躍り真新しいセーラー服を乗せて春は行く。

ハシャぎ合い、時に不安気な幼い横顔たちに
アイツらは元気か?と窓越しにすれ違うリクルートスーツに思いを馳せる。


アイツらみたいな騒がしい輩と別れて清々するものの、

最後までなかなかスタートを切れなかったアイツの事や

春なんか嫌いだわと旅立ちの証を抱いて
揃い初めの木々の蕾を最後まで机に突っ伏して泣いたアイツ。


職業病か人間性か
いつだってアイツらの事を考えては

泣き言駆け込むアイツらの顔を思って
進路調査票は未だに職員室の机ん中に


今日からまた春、
教卓越しに見知らぬ奴らの成長を眺め
三年後のまた春、
何より見知っちまった奴らの旅立ちを見送り


…あ〜ぁ、教師なんかかったるいなァ。
新鮮味のない門を何度となく潜れば
…あぁ、教師なんか報われねぇなァ。
何が楽しいのか、弾んだ声で挨拶が木霊する。


ちきしょう
やっぱり教師なんかやるモンじゃねェなァ…。

大人の世界へと巣立ったアイツらとは同窓会位で逢えばいい。

大人になったアイツらにとってはもう俺はただの同じ大人。


でもアイツら知らねぇんだろう…なぁ?

春を誰より切なく思い
背中を押して見送る
ただそれだけの大人の事を…。


何より頑張れよ。
悔しいから今度は大人として会うよ。


今日は真新しい声で
おはようございますが
晴天の空に響き渡る。

初めて出逢うお前ら
これから一緒に季節を廻るお前よ
お前らもちゃんと俺に見送らせてくれよ。

2008/05/13 (Tue)

[247] lose
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

「優しくしないで」
じゃあそんな顔すんなよ

「好きになっちゃうでしょ?」
じゃあ好きになってくれよ

「彼女に悪いでしょ?」
じゃあ何で俺は此処に呼び出されたの?


ただの気紛れ?
それとも
まるっきり俺を信頼してるから?


教えてくれよ、なぁ、お前。


「アナタの顔が浮かんだから…」
そんな曖昧じゃダメだろ

「私たち、親友でしょ?」
その壁を砕こうと足掻く俺の音を聞けよ

「アナタが一番私を分かってるから…」
知らねェよ。もっとちゃんと心ん中を見せてくれよ。


近所の歩道で小一時間。
俺ん家の中でもうすぐ夜明け
うずくまるお前に
冷めた紅茶と缶コーヒー。


全て飲み干し
慌てて涙誤魔化し
笑ってお前が帰ってしまえば

完全に俺の負け。

全て飲み干し
静め息を整えお前に
笑って好きだと言えてしまえば

完全に俺の負け。


どちらにしても
未完の恋に終わるならと

いい奴気取って
お前を騙し偽り続けてた
最後にして最高に滑稽な
悪あがきな恋を君にあげる。

後は破くなり捨てるなり好きにしちゃってよ。

2008/05/19 (Mon)

[248] simple
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]


世界がもっと
シンプルならば
キミとボクとは
分かり合えただろうね。


世界がもっと
シンプルならば
キミを傷つける事も
泣かす事も
しなかったのにね。


世界がもっと
シンプルならば
ボクはもっと近くで
慰め合ったり
抱きしめたり出来たのにね。


世界がもっと
シンプルならば
歪み合う事も
憎しみ合う事も無かったのにね。


後悔を主軸に
日本語を列ねれば
このまま歌が
終わりなく続くって事は知っていたけど

キミを歌えば
端切れのとても悪い
メロディーが
終わりなく続くって事は知っていたけど


世界はもっと
シンプルで
終わりがもっと
シンプルならば

この歌は
シンプルに
そしてボクはキミを

シンプルに忘れる事が出来るのにね。

2008/05/27 (Tue)

[249] 愛蜘蛛恋蝶
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

乞われて
壊れて
恋われた。

救って
掬って
巣食った。

波瀾で
張らんで
孕んだ。

話して
離して
放した。

啼いて
鳴いて
泣いた。

愛惜しくて
糸惜しんで
愛押しんだ。


険しくて
沢山絡んだ。
愛しくて
沢山泣いた。

2008/05/27 (Tue)

[250] 会員制トリッパー
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

忙しないビルディングにヒッソリ隠れる

此処がワタクシのテリトリー

銀色ライトの下で
寿司ネタ扱いガラスのショーケース。

ちょっとの羞恥心と
カニ味噌程度のプライドを廃棄しちゃえば
最高に楽しめるわ。


現代に於ける格差社会のスーツ戦士たちよ
五月に憂鬱になるアレな症状の新人戦士たちよ

騙されたと思って、さぁ、此処へ集いなせェ。

匿名電子会話で最下層と叩かれりゃ
ハハンと鼻で笑ってやります。
見知ってますもの匿名さんよかずっと

その最下層で下着のままポールに巻き付いて笑ってますものワタクシ。

偉くも
お高くも
無い
ワタクシですが

此処は会員制でございます。

見知った貴方に
チップをリップで
見知ったワタクシが
憂鬱さを優越さに

2008/06/05 (Thu)

[251] だみだこりゃ
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

どの街も電光掲示板だけ優しくて

肉の塊と捨て置けない沈黙の空気が

ステンレス製の箱が夜霧を行く。

個々の塊は散り散りゆき

皆自分だけの時をと道を急ぐ。

可笑しいかな
自分も確かに肉の塊として

一つの個体として交わった筈なのに

一つとして其処から馴染みやしないし

まして特別でも秀でている訳でもないのに


可笑しいかな
何一つ交わろうとせずこんな違和感で吐き気がするぜ。

誰か居ませんか?
キモチ悪ィ
キモチ悪ィんだよ

一種のナルシストなのかも知れない
誰も俺なんか見やしないのに

吐き気がする
吐き気がするんだよ


こんな街なんか
最初から馴染める訳ゃないって


殺そう殺そうぜ
自分さえ無機物ならばきっとコイツらと交われるからさ。


ホームから
電光掲示板通りに
足を踏み入れ
何も見ない見ない

見送りは要らないよ
せめて歓声を響かせ
群れておくれよ鳥よ


また1日
俺が死にました。
おめでとう。


だみだこりゃ
まぁ、次行ってみよか。
バイバイね。またね。

2008/06/18 (Wed)
340件中 (241-250) [ << 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >> ... 34
- 詩人の部屋 -