詩人:チェシャ猫 | [投票][編集] |
どこかでまた涙の落ちる音が聞こえました
そっと誰かが取り出したハンカチは
差し出される前に
新しい悲しみと共に消えていきました・・・。。
どれ程の悲しみが
一秒の今に生まれて埋もれていくのか
どれ程の優しい腕が
差し伸べられて また代わりに傷ついていくのか
数え切れない涙を数えようとするよりも
目に映る一粒を拭ってあげたいのです。。
私に今何が出来るでしょう
止まずに流れていく涙を請け負えますか??
涙が落ちない世界を造れますか・・・??
どこかでまた涙の落ちる音が聞こえました
哀しみに覆われたその音は
何故かとても美しく響きました
私にも貴方にも涙が落ちるのは止められないけれど
せめて私が涙の落ちる場所を作りましょう
そこで気の済むまで泣いたのならば
次は貴方が
誰かの涙の落ちる場所になりましょう・・・。。
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何の為に僕は生まれたのか
僕に生きている意味なんて無い・・・。。
生まれつきの不細工な顔に黒縁眼鏡
短い手足を必死に動かし今日まで生きてきた
周りに笑われ踏み潰されても
小さな誇りを胸に抱き・・・
いつから増え始めたのか
気付けば僕は傷だらけ
いつかヒーローになることを夢見ていた僕に
与えられたのはピエロの仮面
誰しもが生まれてきたことに意味を持つのなら
僕の存在する理由を教えてくれ
誰もが嫌うこの身の持つ役割とは
溜まった不満のゴミ箱か・・・・
目立つことを避け変わることを諦めて
生きている意味が無いと呟いたときに
僕は存在を失ったのだろう
人の目を避け生きていくことに目を背けて
自分の価値を信じなくなったときに
僕は人間を諦めたのだろう
ねえ僕は何故生まれてきたの・・・
生まれつきの不細工な顔に微笑みを浮かべて
短い手足を動かすことを止めた
周りに笑われ踏み潰されても
折れぬ誇りを見付けたときに
僕は僕であることを知るのだろう
僕は人間であることに気付くのだろう・・・
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手を繋ごう
繋いだその結び目から世界が広がって
笑顔が生まれるから・・・
哀しみ堕ちていくだけの争いが
意味さえ知らずに続いていく
誰もが武器を棄てる勇気を持たぬままに
赤い雨は降り注ぐ
助けてくれと誰に祈る??
微笑むだけで手を差し伸べぬ神に縋っても
希望はこの手から零れ落ちてゆく
世界が見捨てた場所に佇み
涙の数を数えている
誰かこの命を終わらせてくれないか??
自ら絶つ勇気を持たぬ小さな胸に
優しい最後をくれないか
簡単に壊れてしまった何かを
元に戻す為の時間は見えないから
せめて今この瞬間にも確かな
君の温もりに触れさせてくれないか??
手を繋ごう
繋いだその手から優しさが溢れて
いつか命が生まれるから・・・
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いつか僕の存在が記憶から零れたとしても
ねえ 僕の中の君は変わらずに佇んでいる・・・
傍にいて・・・
幼さが祈った小さな願いは崩れ
手元に残ったのは残酷な現実
終わらぬものは無いと知っていても
終わらぬものを探していた。。
狂ってしまえたら楽なのと
震える手が絡みつく
怯える二人に降り注ぐ終わりの花びらは
二人の輪郭をぼかしていった
ねえ いつか僕と居た時間は
思い出という言葉に閉じ込められるの??
ねえ いつか僕と重ねた唇は
知らない誰かのものとなって濡れるの??
忘れないで・・・
無知が信じた小さな奇跡は遠のき
足元に落ちていたのは残酷な未来
終わらぬものは無いと知っていても
終わらぬものを求めていた。。
このまま二人壊れたら永遠なのと
震える手にナイフを握る
臆病な二人に訪れた結末は
二人の距離を永遠へと堕とした・・・
ねえ いつか二人が出会った意味は
答えが出ないままに埋もれていくの??
ねえ いつか僕と繋がった確かな温もりは
知らない誰かを暖めているの??
いつか僕の存在が記憶から零れたとしても
ねえ 変わらずに永遠を信じていたい・・・
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艶やかに佇む月に欠けたる部分が消える頃
貴方は微笑む 全てを見透かしたように
この身を人間に繋ぎとめていた理性は崩れ落ち
真っ白な肌に牙を剥いた・・・
繰り返す短い吐息に中てられて
出口も見えない暗がりに堕ちてゆく
目を閉じて見えた微かな月の輪郭が
涙と一緒に欠けていく
手を伸ばしても届かない高嶺の花に
黙って焦がれ続けていれられる程
この心は上等には作られていなかった
目を背けたくなる程に汚らわしいこの手が選んだのは
力尽くで手折った花を
自分以外に手の届かない世界に閉じ込める道・・・
小さな窓一つの世界の中で
それでも美しく貴方は咲き誇る
差し込む月の光に照らされて
儚い美しさを描き続ける
こんなにも残酷な獣を
こんなにも穢れたこの腕を
抱き寄せて貴方は微笑むだろう
黙って全てを許すだろう
薄汚れた世界の神よ
誰にも必要とされない獣にも
一つだけ願いを叶えてくれるのなら
どうか私がこの世に生まれた事実を消して欲しい
身が裂ける程に慕っても叶わぬ思いを
牙に変えてしまったその前に・・・
いつまでも変わらず咲き誇る美しき月の下の花が
醜い腕に手折られてしまったその前に・・・
いつまでも月の下に
美しき人が微笑んでいられるように・・・
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童話を読んで僕は笑った
馬鹿馬鹿しい程の夢物語を僕は笑った
いつからか僕は大人になっていた・・・
幼い頃に描いていた未来
右手に剣を左手に誇りを
いつか僕は世界を守るために立ち上がるんだ。。
積み重なっていく時間の底が色褪せ始めた時
当たり前に見えていた夢が当たり前で無くなった時
僕らは永遠だと思っていた子供の時間を棄てた
現実に足を引かれて
見えない世界を信じなくなった瞳には
何が残っているのか
繰り返し唱えていた夢のような世界には
いつからか夢の中でさえ行くことができなくなった。
いつだって世界は子供の為に在ると信じていた
勇者も魔王もお姫様も
いつだって子供にだけは見えていた
普段と何も変わらない平凡な日常さえも
望めば冒険の日々になっていたんだ。。
大人になりたくないと俯く少年も
いつしか大人の色に染まっていた
変わることも必要だけれど
変わらないものもあるのだと
誰か僕に教えてくれ
子供を棄てて大人にもなりきれない僕の
願いを一つだけ聞いてくれ
誰も知らない秘密の島が在ることを
誰かそっと耳打ちしてくれ
意地も見栄も体裁もかなぐり捨てて
飛び出せるだけの勇気を分けておくれ
童話を読んで心をときめかせ
馬鹿馬鹿しい程の夢物語に立ち向かう
そんな自分の生き方を誇らしげに語れるように
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大切なものが何処かに在るとして
その何かが僕を待っていたとしても
気付けば汚れきったこの手を差し出して
どんな言葉を呟けばいいのだろう・・・。。
変わってしまったのは自分か周りのほうか
その境目すらも見えなくなった頃に
一人世界に背を向けた
何かを捨てなきゃ守れないものがあって
僕は捨てるほうを間違ったのだろう
本当に大切なものを犠牲にしてまで守りたかったのは
どんなにかちっぽけな数枚の金貨
忘れたくない何かが記憶の何処かに隠れているとして
その何かが僕の名を呼んでいたとしても
ねえこんなにも汚れてしまった僕に
振り返る権利は在るのだろうか・・・。。
狂ってしまったのは現実か理想のほうか
現実から逃げ理想に潜り込む僕に
ある日世界は背を向けた
何かに気付けなければ抱きしめられないものがあって
僕は気付くのが遅すぎたのだろう
気付かないふりを繰り返して気付けば失っていた人はどんなにか温かい手をしていた君
何かを捨てなきゃ守れないものがあって
僕は捨てるほうを間違ったのだろう
本当に大切なものを犠牲にしてまで守りたかったのは
どんなにかちっぽけな数枚の金貨
本当に大切なものに気付いた時に手に握っていたのは
どんなにか美しい記憶の中の笑顔・・・
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誰か僕に帰る家を頂戴
焼きたてのパンとあったかいミルクを頂戴
ねえ 誰か僕を抱きしめてよ
いつからここに居るのかも知らずに
気がつけば僕の家はこの薄汚れた路地
嘘みたいにちっぽけなお金しか手に入らない屑拾いと
道行く人にただひたすらに頭を下げて物を乞うことで
ようやく今日を生きている
人々はこの幼き命に哀れみの目を向ける
神様に祈ればいつか救われるよと囁きながら
でも僕に必要なのは腹の足しにもならない
ありがたい聖書の文句よりも
この飢えをやわらげてくれる一切れのパン
一日が終わり夜が来て
すっかりこの身に馴染んだ
ぼろきれを纏って僕は言うのさ
「なんとか今日も生きられた」
目が覚めても世界が変わることは無いけれど
せめて夢の中では普通の子でいたい。。
「おい どうして食べ切れないほどに作るんだ
捨てるくらいなら僕にくれよ
おい その服まだ着られるじゃないか
僕にはこの穴だらけの服しか無いのに
太るのを気にしてダイエット??
頼むからいらないなら僕らにも分けておくれよ」
自分の両親の顔さえも知らずに
気がつけば僕の家族は薄汚れた野良猫
嘘みたいに物に溢れた贅沢な国と
嘘みたいに物の無いこの国の差を呪いながら
なんとか今日を生きている
裕福な馬鹿達はこの哀れな少年に同情する
私達にも何か出来る筈と決まり文句を吐きながら
所詮お前らが見ているのはお涙頂戴の作られた映像
僕達に必要なのは
同情よりも温かい毛布
一日が終わり月が出て
すっかり見慣れた暗い路地に
身をうずめて僕は言うのさ
「違う場所に生まれたかった」
何を叫んでも世界は変わらないと知っているから
せめて今日も生きていられたことに感謝するのさ。。
おやすみ僕を見捨てた世界・・・
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もう数えることすら諦めた夜がまた明ける
繰り返し羊を数えて見ても
訪れるのは累々と重なる屍と無益な時間だけ
誰か安息を与えて頂戴
私は不眠症の眠り姫
ねえ私にこの名を与えて塔に閉じ込めたのは誰??
御伽話程に現実は美しくはない
王子様のキスよりも睡眠薬と安眠枕を頂戴
ホットミルクも忘れずに
美貌なんてとっくに枯れ果てたわ
ひび割れた鏡に映るのは
目の下に大きな隈のある自称元お姫様
ねえ物語の中の私はそんなに美しいの??
そりゃ毎日好きなだけ寝て暮らせるのなら
私だって見目麗しいお姫様
ねえ私のお話は世界中で売れているんでしょう??
そのお金で私の病気を治して
代わり映えの無い毎日をどれだけ繰り返せば
私は覚める事の無い眠りに就けるの??
物語の中のようにとこしえの眠りを得たらならば
王子様どうか私を起こさないで頂戴
もし起こしたら
高級なヒールで蹴飛ばしてしまうから
そんなことよりも王子様私を見つけたならば
キスはいらないナイフを突き立てて
誰か私に睡眠薬と安眠枕を頂戴
私は不眠症の眠り姫。。
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奏でた音の続きを聞かせて
誰も居ない眠りを恐れる心が
居場所を見つけられるように・・・
ようやく手にしたちっぽけな勇気は
孤独に煽られてその灯を消した
世界から切り離された夜に
「独り」の怖さを知ったとき
その瞳からは悲しみが溢れた
君を忘れて貫こうとした道が
正しかったのか間違っていたのかも分からぬままに
その先を閉じた
真面目に聞こうともしなかった
有り触れていた筈のその音色を
もう一度だけ聞かせて
傍に在ることが当たり前で気付かなかった
一片の可憐な花弁に
眠りに就く時にはいつも聞こえていた
君だけの子守唄に
目を向けることさえ避けていた卑怯者を
誰か彼女の運命と引き替えてはくれないか
人知れず残した物語の続きを教えて
君の顔さえぼやけてきてしまった僕にも
その存在を忘れずにいられるように
いつも歌ってくれた子守唄を聞かせて
誰も居ない眠りを恐れる弱虫な僕が
君の存在を感じられるように・・・