詩人:剛田奇作 | [投票][編集] |
今朝は、六年に一度の
燃やしたくても燃やせないゴミの日だったのに
あっさり寝坊した
目玉焼きの黄身の部分を かじったら
パチンコ玉が四つも出てきて
すごく嫌な予感がした
トイレに行くとやっぱり
トランプでできた便器に
落ち武者が座ってるし
散歩に出ると
コンビニの店内から駐車場まで
アマゾネスの家来たちが占拠して
アマゾネスは化粧品を買いあさっているし
母が悪魔にさらわれたと父から電話があり
私の左目と交換だといわれ、赴いたら
新手の詐欺で
環境と中国人に優しい壁紙を
欲しくもないのに買わされて
家に着くと閉め忘れた缶から、お菓子たちが出てきていて
私のお気に入りの恋愛映画を勝手に観て、みんな大号泣しているとこだった
チョコレートが大号泣したせいで
家中がココア色になってしまい
掃除をやっとの思いで終え
こんな日は早く寝るに限ると思って布団をあけると
絶滅危惧種のシベリアトラが先に床についていた
よりによって妊娠中のメスだし…
仕方ないから
シベリア行きの飛行機をネットで予約して
トラを入れる鞄を急遽
特注で作ったので
ヘソクリはなくなるし
けれどシベリア空港にメストラの夫が迎えに来てくれたお陰で
少し助かった
メストラに
オーロラ見ていかない?
って 誘われたけど
明日も早いので断った
ほんとに今日は
全くついてない一日だったなぁ
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タケルは年上だけど
私はタケルって
秘かに呼び捨てにしている
タケルってのが
やっぱり一番合っている
気がする
タケルは
髪の毛ボサボサで
怪しい哲学者のような風貌
お酒大好き
タバコは
わかば
めちゃめちゃ強くて
臭い匂いがするやつ
偽物ミュージシャン
ギター片手に
町をフラフラ
いつも回りに甘えてばかりなダメなやつ
お父さんのお説教が大嫌いなタケル
いつも理論派ぶっちゃって
つじつま合ってないくせに
クロブチ眼鏡の奥で
かなり偉そう
女の子ならみんな引いちゃうくらい
でも、ふとした何気ない
タケルの言葉に
私は
泣いてしまう
嘘臭くて
意味深な
よくわからん奴の言葉
私の胸には悔しいけど
なんだか切なく
響いてしまう
雨の日の暗いキャンプ場
タケルは割り箸で
イカの内蔵をワインで煮詰めた
キャンプ場の薄汚れた
ベコベコの鍋で
次第に真っ黒に焦げて
ヘドロみたいになった
みんなは覗いて
顔をしかめた
けど それは
物凄く
美味しかった
ひどく生臭くて
苦いけど甘くて
濃厚なような
クドイだけのような
クセのある味
泣いてしまいそうな味
もうはっきりと
思い出せないけど
それは物凄く
美味しかった
もしいつかまた
食べれるなら
私はやっぱり
泣いてしまうかもしれない
詩人:剛田奇作 | [投票][編集] |
高校時代、二年と半年間想い続けた彼とは
ラブレターを二通も送って一言も話せなかった
顔から性格からすべて大好きで、尊敬している友達がいて
仲良くなろうと
しきりにメールを送るも
ちっとも返ってこない
好きな母は最近
あんたとしゃべると具合が悪くなる
と言って、あまり電話に出てくれない
親しかった友達にも
精神的混乱期みたいだからゆっくり休んでね
と言われる
愛情は見返りを求めた
別の方向から
返ってくることが多い
私は、猫と犬と子供に
好かれる
ニャンニャンニャンニャンワンワンワンワン
抱っこー抱っこー
はい愛情、一周
おかえりなさーい
どんな形でも愛情は愛情
循環しない愛情はなくて
愛情の掛け捨てになることはない
ただそれが望む方角から来ることは稀だ
詩人:剛田奇作 | [投票][編集] |
深呼吸と同時に
蝶を飲み込んでしまった
咳をして出そうとしたが
蝶はもがくほど
奥へ行ってしまう
そのうち気管支の辺りで ピタッと張り付いて
止まった
呼吸すると
蛍光ブルーの粉が
口と鼻から
シャラシャラ漏れる
お腹 空いたわ
と蝶が言うので
ハチミツを舐めてやったら
美味しい
と言う
支障が無いので
そのまま生活した
彼女とセックスをしている時に
ダメ、もうちょっと優しくよ
ちょっと!早すぎるわ!
もっと丁寧に
とか色々言うので
うるさい、と怒ると
それきり
彼女がマグロになった
ある時 蝶が
さびしい
と言うので 公園の花壇に行った
彼女がフェロモンを出し 雄を誘惑したので
九匹もの蝶が寄ってきて
そのままずっと
着いてきた
電車に乗るのも
飯を喰うのも
仕事中も
九匹の蝶が顔の前を
ヒラヒラ舞っている
取引先のお客さんには
おや、素敵だね
と言われ中々好評だ
九匹は
彼女に一目逢わせて欲しいという
ちょっと焦らしたほうが いいのよ
などと言って
中のメスは出ようとしない
そのうち オスがハ匹になり七匹になり…
最後の一匹になった時
メスが出たいといったので
彼女にピンセットで出してもらった
ところがオスが俺の彼女に 一目惚れした
出たメスもあんまり好みじゃなかった
と言い花壇に帰った
オスは彼女の傍にいたいというので
着替えと風呂の時は離れると言う条件でOkした
しかし
最近 デートの度に 気になり
キスも落ち着いて出来ない
蝶は 涙目で
構わないです 僕は
と言う
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イチゴオーレを一日に
5リットル飲むと
恋愛中毒になります
1952年 イタリアで18才の青年がストーカー行為を繰り返し逮捕され
調査の結果、一日になんと8リットルものイチゴオーレを摂取していたことが判明
以後イチゴオーレの研究が世界的に進み、イチゴオーレの恋愛中毒性が発覚、その危険性が明らかになります
ついに
1971年イチゴオーレ恋愛中毒物質軽減法が設定
現在市販されているイチゴオーレは
厚生労働省の特別な監査により 恋愛中毒物質軽減措置が施されています
注意すべきは一般家庭で
イチゴと牛乳と砂糖を使ってイチゴオーレを作る場合です
牛乳:7
イチゴ:2
砂糖:1
の比率の際、恋愛中毒性が最も高くなると言われています。比率を調整するなどして未然の予防が必要になります。
また、驚くべきは
あの天才、
レオナルド・ダ・ヴィンチもイチゴオーレと恋愛フェロモンの関係性について論文を残していました。
1499年
『イチゴ・オレと男女の性愛』
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愛する事とは、どういう事ですか
先生は、答えた
大切にすることです
思うだけじゃなく
感じるだけじゃなく
大切に、すること
私は未だに、これ以上の答を知らない
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おめでとうございます
地球上のあらゆる宗教、哲学、学問がついに一つに統合されました
私たちは誰もがその英知の恩恵にあずかることができ
私たちは皆、魂の自由を手に入れたのです
ついにすべての人類は求め続けた最高の領域に…
おや?
誰ですか、
猿でもいいから個性的でいたいなんて言っている人は?
詩人:剛田奇作 | [投票][編集] |
十ヶ月の彼は
休む事を知らない
悪魔の眠気と闘いながら
頭を掻きむしり
床の米つぶを拾い上げようとし
己を必死で保ちながら
両手で大地を掴み
椅子を倒す
精神力のロウソクが燃え尽きるその瞬間まで
彼の命をかけた死闘はつづく
人々は言うだろう
そこまでして下らないあそびを続ける意味があるのか?
彼は答えるだろう
世界がここにあるからだ、と
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乾布摩擦の時タバスコを一緒にすりこんで、バス会社と教鞭が怖くなくなると、人は終電の時、選挙管理委員並にいい気になるが、天気予報が当たらないと決まって嫁の作ったナポリタンが湿った折り紙なので、どうしたって残業手当が不規則なのを歌詞にする訳にはいかなかった。確かにギリシャではUFOキャッチャーの夢が、頻繁におにぎりの石膏で問題になったが、カナディアンジョークを武器にするNASA好きの猫の出版物が割引にならないのとでは関係なく、ピラミッドの継ぎ目が苦手な時代の百人一首は、どうしてジークフリートと姑の包容力で代弁不可能だったのだろう。