詩人:剛田奇作 | [投票][編集] |
本心を言葉にしたいという思いと
すべてを失いたくないという思いが
等しかった
いてもたってもいられず
海底の家に逃げ込んだ
ところがその家では呼吸すらできなかった
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必死に生きれば、
「あんなに頑張っちゃって」
厭世的になれば、
「賢ぶってる」
悲観的になれば、
「同情買おうとして」
静かに生きれば、
「一匹狼、気取っちゃって」
死にもの狂いで明るく笑えば
「悩みなさそうで、いいわね」
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目薬をね、十滴くらいいっぺんにさしてごらん
どうなるの?
オレンジの味がする
うそだー 貸して、ね
ヤダ
やってみたいじゃん
あたし今もってないもん
ヤダ
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ここの海岸で
地平線が見えないのは
濃い霧が いつも出ていて灰色と波の音があるだけだから
砂に足が飲まれ
靴に砂が入る
強い風の隙間に香る
かすかな、何かの
腐った匂い
古い土のような匂い
これが私の小さい頃を思い出す唯一の手掛かり
そこにいけば昔の私と話ができる
小さな私の指は恥ずかしそうにいつも
くねくねと動く
ただ今を生きていた頃の純粋な私
戻れない私
今日はお別れ、言いにきた
時間が経ちすぎて
悪かったね
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はじめは、被るのが嫌だった
誰かに強引に外してほしくて、待っていた
だんだん、これなしに居られなくなり、
忌ま忌ましいと思いながら、投げ棄てることができず
自分の本当の顔は忘れてしまった
本当の顔になってしまった
今は
付け外し自由自在である