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剛田奇作の部屋  〜 新着順表示 〜


[281] 憎しみぐるみ
詩人:剛田奇作 [投票][編集]

憎い奴だと思って

ぬいぐるみを

ボコボコにした


思いきり踏んで 蹴って パンチして


憎い奴は 部屋の隅に転がった


惨めになった


ぬいぐるみ拾いあげたら
泣きたくなって
思い出した


憎いんじゃない


誰よりも痛みを理解して欲しかっただけ


憎しみは





コインの裏表みたいに





2009/12/06 (Sun)

[280] 傷の海
詩人:剛田奇作 [投票][編集]

溺れ

溺れて

いきが でき
な い


く るし くて 慣れるなんて
到底、無理

汚物も喉につまって

もう 何年も まともに いき を

して なくて


溺れ死んだらきっと
もう溺れなくていい


でも
わた し 死にたくない


未だに 溺れることしか出来ない



世界中に溢れては 人を飲み込む


傷の海


でも わたし だてに何年も溺れてたわけじゃない

わたし わかった


傷の海にのまれて


自ら死んでしまう人もいるけど

死ねない人も、いる

生きるか死ぬかという
「選択」さえ 許されない人だって

私には死を選べるという
「自由」があるけど


もっと もっと わたしなんかの想像さえ絶する過酷な海が


世界中にあるということ


闘ってるのは一人じゃないということ


やがて その海が深すぎて

心や身体が完全に壊れてしまっても


死んでもいい 人間なんていない


あなたも溺れてる?


それでいいの

あなたの願いは生きたいということ

正しい願い


きっと傷の海を無くすのは難しいね


中には癒える人もいるけど

たぶん

ずっとなくならない


でもいつか、

泳ぐ ことなら できるはず

下手くそでも

進まなくても

傷の海

悲しみの現実を受け入れたら


浮かんでみて


もう十分
溺れて 苦しんだはずだから




2009/12/06 (Sun)

[279] 中心の歌
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ありのままの奇跡

君の心、解き放って
もう何も隠さなくていい


世界なんて気にするな
しょせん全部、夢みたいなもん

今の君が1番いい

すべての一瞬がなにかの1番さ

世界の心臓の半分は君の呼吸で出来てる

同じ一瞬なんてない
すべて違って最高の君

だから笑ってみせて
たとえ一人でも

頭の中が散らかれば
散らかりようのないように全部捨てちゃえばいい
南の島には何もなくて

ただ君の微笑みだけが
パラダイスの証

裸んぼうで
開き直って

大口開けて笑ってごらん
ほら
太陽さえも君の引き立て役になった





2009/10/14 (Wed)

[278] 厄介事
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なにを得るのか

なにを求めるのか

なにを愛するのか


こんなこと
決めるのはたやすい


なにを失うかを決める事に比べれば


厄介な事にこれは
避ける事ができない


引き出しにモノがぎっしり詰まり

びくともしなくなる前にね





2009/10/13 (Tue)

[277] 緑の記憶
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お元気ですか

一番星

あなたを見上げなくなってかれこれ数年たった

真冬の夕方
覚えていたあなたの居場所


もう忘れてしまった


お元気ですか


あの
用水路の脇の


つゆ草たち


あなたはとても綺麗でしたね

だのに両手いっぱい花びら
もみくちゃにして


ムラサキ色の露で濡れた
小さな私の掌

柵のない危険な用水路
金網つたって
ランドセル背負って

無邪気に渡った


潮風の吹き荒れる西橋は
潮が真横に頬を叩いた


海岸沿いの小さな街
戻れない街


あの頃は家に帰りたくなくて

蚊に射された跡を数えていた


宝物のヤマモモの実は


気付いたらスカートのポケットの中


真っ赤に潰れて
跡形もなかった


私のポケットには今は
レシートと車の鍵が入っている


ポケットは宝物を
無くしたまま


ただポカンと私に張り付いている




2009/10/13 (Tue)

[276] 
詩人:剛田奇作 [投票][編集]

夢を見た

一面、漆黒の闇だった

一寸先すら見えない

私は誰かの手を引いている


強く握りしめている

握りしめたまま

必死に走っている


ふと顔を上げる

目の前には巨大な白い塔がそびえ立っていた


不気味な白さで

息が詰まるような闇の中
恐ろしいほどの存在感

そそり立つ 存在感


私たちを呼んでいるように


恐ろしかった


行きたくない


あそこへは


きっと
二度と帰れなくなる


そうだ 帰りたい


もう 帰りたい


私のあるべき場所に


帰りたい







2009/10/12 (Mon)

[274] 
詩人:剛田奇作 [投票][編集]




してもいい


ズル


してもいい





吐いてもいい



ただ じぶんが一番

つまらないだけ



つまらないという虚無が


じつは一番
残酷なのかもしれない







2009/10/11 (Sun)

[273] 何も
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カビが金と同じだったら


男と女が逆転したら


道路がマシュマロでできていたら


爆弾の原料がメロンだったら


君が僕のものだったら



世界はかわるだろうか



いや

変わらない



何も



何ひとつ








2009/10/11 (Sun)

[272] さよなら幽霊
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君はまだ幽霊ですか


そんなにこっちの世界は怖いかい


眺めていても
はじまらない


そう


花を見ることと


その泣いてしまいそうなほど柔らかく

はかない花弁に触れていることは


世界の違うこと


もう
狭い二次元の監視塔に


かじりつくのはよしなさい


今君は無次元の
真っ暗か
真っ白か知れない


果てしない空間に生きている

痛いとか熱いとか
±:∂∫Å√∝とか


君だけの無次元の世界を早く散歩しようよ


誰も殺しにきたりはしないさ


観察だけなら幽霊になってからできるでしょ


はやく人間になって





2009/10/11 (Sun)

[271] 麻酔
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虫歯になった
歯医者に行った

雨が降っていた

麻酔をした
当然、ガリガリ削っても痛くない

先生ありがとう

しばらく痺れが続きますから

はいわかりました

帰り道、左あごに雨が当たってもわからない

気持ちわるい

左あごの感覚がない

抓っても、唇噛んでも

自分のものじゃないみたい
そこだけ、誰かみたい

味気なくて、寂しい

早く私の左あごを取り戻したくて

私はずっとマッサージした、他の事は手に付かず

三時間後、ようやく私の左あごになった

嬉しくて
お帰り、と言った
家族に再開したみたいに
こんなにも私は自分の体を愛していたのか

私は思った

痛みを無くすことは、生きてる喜びも同時に失うこと

感覚があるから、素敵
たとえどんな感覚でも

痛みでも
悲しみでも
くすぐったさでも
涙を流すあの感じでも

感覚のすべてが私

根拠はないけど

生きてる、んじゃなくて

生かされていた、って





2009/10/06 (Tue)
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