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剛田奇作の部屋


[143] 追い風
詩人:剛田奇作 [投票][得票][編集]

僕らは、歩いていく

時に、立ち止まりながら 休みながら

限りある時間の中で

真っすぐに延びた

決められた道を


距離は長い


体力だって無限にある訳じゃない


いつまでも

重い荷物は持っていられない


怒り
憎しみ
悲しみ
淋しさ
恐怖


どんなに強靭な精神をもつ人も

どんなに頭のいい人も

どんなに柔軟な人も


いつまでもその重さに
耐え続けることなんて


できやしない


君の荷物は、もう手垢だらけだね


もう、握りしめなくていい


そっと


君の足元に置いていいんだ


見上げる荷物に
笑顔で、ごきげんよう
と言って


また道を進むんだ


少し軽くなった足で


一歩、二歩、ゆっくり三歩


そうして…
ふと振り返ってごらん


荷物はもう小さくなって

見えなくなって
何がなんだか解りゃしない


あんなに握りしめてたのに


思い出す事もできないのさ


これでいい


いずれ振り返ることも忘れる


もう取りに返る必要はないのさ


彼らは、僕たちの
追い風になって


背中を押している
だろうから





2009/01/07 (Wed)

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