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剛田奇作の部屋


[144] 感覚地獄
詩人:剛田奇作 [投票][得票][編集]

感覚が 尖っていると

どうしようもなく
面倒くさい

感度が良すぎて

すれ違う針の山が欝陶しい

くしゃみしただけで

フライパンが歪み

玉葱の前を通るたび、涙が止まらない


ダンプカーが勢いよく通り過ぎるから

大切なもの 何もかも吹き飛ばされるし

逆方向に走り出さねばならない


でも
感覚が尖っていると

時間の息遣いが聞こえ

宇宙の温度が見え

永遠を蹴飛ばして遊べる


感覚が尖っていると


原始時代がちょうど良い

星々の会議や

木々の鼻歌を聴くのに

ちょうど良い


現代、まるで感覚地獄

そんなに何度も手を洗いたくないんだ

だれか少しボリュームを下げて

蜂の巣にされた鼓膜の愚痴

君達が自分の耳を裂いてまで得ようとしている情報は
月のアクビより、珍しいかい?


私はもう、ここまで

とりあえず、呼吸させて下さい





2009/01/09 (Fri)

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