ホーム > 詩人の部屋 > 剛田奇作の部屋 > 知らない街

剛田奇作の部屋


[150] 知らない街
詩人:剛田奇作 [投票][得票][編集]

住み慣れた部屋


むやみに壊れたりしない安全なベランダ


一円の狂いなく家賃を引き落とす銀行


何万回となく正しい金額を請求するレジスター


胡散臭いほど華やかなショッピングモール

舗装された道路

美しい公園


そんなことが、
偽りでも、平等で平和な世界をつくるために


とても重要らしいのだ


無力な私は、これらの創造物の一欠けらさえも


加担したことはないのに


瞼にうつる、機能化された世界の輝き



この街に馴染んでいるとされている私


小さなパチンコ屋の、景品管理と在庫確認も

満足にできない私が


いつしかこの奇妙な
無数の歯車の一部になっていて

その無能ささえも、誰かの想定内の出来事で


私の存在自体が
安全極まりない想定内の産物で


名前も思い出せない

古いパンクバンドの歌詞を


擦り切れた青春チックな感じにアレンジ


誰の胸にも響かない旋律も


枯れた空には、
似合うかも知れない




2009/01/12 (Mon)

前頁] [剛田奇作の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -