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剛田奇作の部屋


[200] 暖戦
詩人:剛田奇作 [投票][得票][編集]

極寒の海から引きずり出された僕は


会議室のテーブルについていた


君、言いたい事はちゃんと言いたまえ


そんな物騒な武器は早く棄ててしまいなさい


ナイフは手で持てば、目の前の肉体を切り裂く武器、口で持てば無限の力を秘める芸術


寒いとは、どういうことか?
いい加減、説明をしてくれないか?


仕立ての良い背広の男たちが口々に言う


会議室にメラメラと燃える暖炉が次第に僕の唇を溶かしていく


僕は、その日
生まれて初めて声を発した

知っているただ一つの言葉を



「助けて」

途端に


背広の男たちは、次々に神話上の動物になり


僕の体に入ってきた


暖炉が消えた後もずっと、僕は温かかった


寒さを忘れるほどに
温かかった


2009/02/02 (Mon)

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