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剛田奇作の部屋


[266] 予備知識
詩人:剛田奇作 [投票][得票][編集]

まゆげの上の大きなニキビを潰した


私は君の暖かさに
あぐらをかいていた


ニキビからはウミと血が流れ
シコリは取れた


君を手放すのが
笑えちゃうほど辛いなんてね


痛いのは 空とベランダの匂いだけで十分


君が優しく
とても優しい低い声で
別れを告げた


私は謝りたかったけど
君が一度決めたら
てこでも動かないの知っているから


いつかの京都旅行もヘドがでるほどつまらなかった


しゃべらない君は私に攻撃されて
矢がささって
ハリネズミみたいだった


それでも君は全然 動かなかった


万策尽き果てた私は自分のほっぺを叩きながら泣いた


一体私たちのどこをつねればウミが出るんだろう


君に関する予備知識が要るみたいね


それは図書館にもネットにも見当たらないけど


君が去ってしまった今は
コーヒーを入れることしか出来ない


君の好きな甘いキリマンジャロ


夢の中で会ったらね
またミントの飴をちょうだいね


誕生日には
パン粉を入れすぎたパサつくハンバーグ
食べに来てね





2009/08/19 (Wed)

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