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剛田奇作の部屋


[420] ぼくのアリス
詩人:剛田奇作 [投票][得票][編集]

白の中に白があって

ちっとも見えないって

君は笑った

午後のひだまり

穏やかな風にカーテンは揺らされ

知らない色がいっぱい混ざって
懐かしい絵ができたね

白い額縁のなか

君とぼくの思い出


コスモスが揺れて散ったあとも

ゆるやかにブランコは揺れる


時間は優しく

僕らを包んでた

あの日、君がはがした絆創膏と

くしゃくしゃだった、ぼくのハンカチ


哀しみに触れるとき

息をとめるのは

青空にばれないようにしたいから?

絆創膏を剥がした

君の華奢な指

かすかに震えてた

雲のすきまの、

白黒の奇跡と

奇跡の間の束の間の航海

君といっしょに

でかけたね

君がいるから、ぼくの白黒は

鮮やかな絵の具になる


君の絵本の中の鍵、

いつか

見つけにいくね













2012/05/22 (Tue)

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