詩人:剛田奇作 | [投票][得票][編集] |
冷たい夕暮れ
けやきの道
とても小さな彼女は仲間外れにされて帰った、
両手で目を擦って
肩を小刻みに震わせて
いつもその娘は
一人で帰った
虐められていた
窓越しに一瞬見ただけのはずの、肩までの髪とピンクのポロシャツの後ろ姿
焼き付いて離れない
放課後
私は眺めた、止めなかった
私が年上だったのに
私はその子が大好きだった
どうしてやりすごした?
みんなで一緒に遊ぼう、帰らないで、
簡単なはずだ
あの子に、どうしてそう言わなかった?
もう一度 やり直せるならけやきの道を走って
あの子を追い掛ける
ほら、あの子の後ろ姿が泣いてる、助けるから絶対、待っててね
あなたは一人なんかじゃない
ほら、帰っちゃうよ?
やっぱり、泣いてる
動け、私の身体、お願いだから 動けドアをあけろ早くしないと
動け…早く、小さな肩を掴んで…腕をのばせ!
そして一度もその肩には触れられないまま
ついに夕闇の底ですべてが見えなくなる
ごめんなさい
許して、ゴメンね
大丈夫、もう一度…
今度こそは…