詩人:三歩 | [投票][編集] |
ときには
お天気屋な気圧よりも
孤独を裏切らない
水圧の中を
漂っていたいんだ
風を舐めるよりも
水のこすれる音に
耳を傾けて
無理に重力に従うよりも
目の前の世間に染まるよりも
無機質な僕に
戻ってみたくって
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僕の背中についているのは
翼とはとてもいえない代物
小さな羽
優雅に羽ばたくことはできず
高い空を知らず
ただ 慌しく
川面をすり抜けて
花弁の周りで
過ごす日々
大空に
飛び立つことには臆病で
まだ 君の横顔
見つめ続けていたいから
風と埃にまみれながら
繰り返す
ちっぽけな 8の字ダンス
空高く舞い上がるには
僕はまだ
この地上を知らなさ過ぎてるし
花の蜜の情報だけじゃ
稲妻に
立ち向かう勇気ももてなくて
君の笑顔
もう少し
見届けてみたいから
低い空の中
光と水滴にまみれながら
繰り返す
ちっぽけな 8の字ダンス
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雪の匂いは
ほんのり甘い
浅い深呼吸
夕焼け空
肺の粘膜に
クレープ生地みたく
薄く伸ばして貼りつける
西陽のシャワー
雪の表面乱反射
流れてくる
煮魚の香り
細長い風の中
先細りの
たよりない風となって
家路へ急ぐ
僕にまとわりつく
my dearest T city
おじいちゃん、おばあちゃん。
こっちは雪が降らないよ。
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街の明かりが溶け始めた頃
僕は暗闇に追いつけなくって
どうやって家に帰ろうか
いつもそればかりを
考えてしまう
飲み歩くサラリーマンの群れは
きっと 今日で一番の笑顔と饒舌で
僕の背中を後押しし
歩幅を大きくさせる
「やっとみつけた」
バスストップにしがみつく
街の明かりは
星のない夜空ばかりを強調して
それでもつぶやく
「今日の日よ、
永遠にさよなら」
明日を探すのにも
昨日を振り返るのにも
今日という一日が
あまりにいつも未完成で
僕はまだ
そのどちらのタイミングさえも
掴みきれずに
分かったような顔して
歯磨きしながら
今日も生きてる
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たとえ
ダイヤモンドのような
強度はなくっても
信じることで
跳ね返す光には
違いはないんだって
ちゃんと気付くことが
できるから
偽物なんかじゃない、
ホンモノの ガラス玉。
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コースロープと水しぶきの間
たった25mの往復に
未だゴールを見出せず
気付けばもう
どれだけ泳いだんだっけ
不器用な僕は
立ち止まることにすら
罪悪感を覚え
迷いの気持ちはいったん
バタ足で底へ沈めて
右肘と水面で囲い込んだ
クロールの2等辺3角形
いびつな窓から
現在進行形だけを飲み込んでいる
塩素と抵抗だらけの中で
たった25mの往復に
相も変わらずゴールはないけれど
不器用な僕は
迷いの気持ちに
時々足をとられながら
次のターンに
その都度
小さなゴールを
かみしめてみようか。
「ため息だなんて言わないで、
これもただの 息継ぎだから。」
MINNA1231
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ベルガモットの自己主張
湿った香に照らされて
愛着してる Stillと張り合う
透き通った赤色は
まるで昨日の太陽みたいに
協調性に欠け
そこだけポツンと浮いている
心の鍵は
簡単に外れてしまった
気だるそうにぶら下がる
緩めに巻いた 伸ばしかけの髪
いくつかのmustと絡み合って
かき上げる手さえ覚束ない
頭を振って
払い落とすことができるのは
鎖骨にかかった 横髪だけ
心の鍵 外れても
飛び出す先を 持たなくて
向かった先は このティーカップ
シュガーポットはいらないけれど
せめて自分の甘さ
一さじ分くらいは
そのまま溶けちゃえ。