詩人:三歩 | [投票][得票][編集] |
ガラスの小瓶
右手の平 凹凸食い込ませ
逆時計回り
お腹に力を込める
カポン
突き抜ける音
広がる甘ったるい香り
鼻腔を走り抜ける
それでも もうね
単純な甘さだけじゃあ
ちゃんと歓べない体質なの
徒に 強いだけの酸味より
随分マシだとしてもね
強い刺激なんて今はもう
目頭にくるだけだから
だけど 涙も出せないから
分かってる
ちゃんと学習したでしょう?
Teaスプーン
指がギトギトになるくらいに
突き立てて
その割りに
ちょっと遠慮がちに掬い取った
もったいぶって 一口味見
しっかり煮詰められ
加工されてしまったあなたと違い
私はといえば
狂おしいくらいに
生身の人間
痛点だって
こうしてちゃんと生きてるの
何かに振り回されて
懸命に 遠心力に抗ってしまったおかげで
三半規管までも やられちゃった
見た目より
随分美味しかったあなた
しばらく一緒にいようよ
ちゃんと毎日 愛してあげるから
最後の一口まで
味覚だけで 愛してあげるから
痛いことなんて何もない
将来私の
一部になってくれればね
私はベッドで
あなたは冷蔵庫の中で、おやすみなさい。
互いにいい夢 見ていこうよ
いちじくJAM250g
590円也。