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三歩の部屋


[23] アイスティー
詩人:三歩 [投票][得票][編集]

八角形のグラス
まるいテーブル
口をつけてないストローと
水滴に濡れたコースター


空も海も
始まりはここからいつも平行で


互いの青に
踏み込むこともなく


帆船近くの水平線で
無理やり
垂直に分離


グラスの中のアイスティー
氷がずれる、音がした。


琥珀色の液体
内側からなぞって
日常へと浮上したがる、
いくつもの気泡


あの日。

氷点下に閉じ込めてみた
君への残骸

グラスの底に
今なお、こびりついている。


厚さ数ミリの上澄みに
到達させるまでもなく
右手のストロー
せわしなく、攪拌。


グラスの表面
浮かび上がった水滴。

わざとらしく、ぬぐった指先。


転がったのは
気化を拒み続けた、球状の意気地。


融けかけの氷と一緒に
奥歯で軽く噛んでみたら

あんまり簡単に
粉々になってしまうから



もう一度だけ
誰かに


泣いてもいいって
言われたかった。










2007/08/17 (Fri)

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