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[12] 海の花 rewrite
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海を首肯するように
いっそこの首を
手折ってくれたら、とおもう
午睡する傍らの君は今にも冷やし飴に溶け落ちそうで
露台の木目はいつだって不規則なゆらぎに満ちていて
君はまだ
呼吸と寝返りを
繰り返している
壜を握り締めていた指先の水滴は
あたしの喉へと滑り
逆さまの海が映り込む


どこまで歩いても
君のくるぶしだけを
掠め取るような
浅い、あさい
粘性の波に
首が呑まれる、のまれる
(四十分おきに大きな波が鈍色のうねりでもって、くる、からね)
そのあなうらで
踏みつけてくれたら
もうどこへも行かない
閉じた瞼に
木目の輪郭がしたり顔をする


温んだ壜を逆さまにして
露台から乗り出した半身を
日差しへかざす
垂直に砂を貫く琥珀のそれが
君の午睡を妨げないよう
あたしは海を首肯する


どれほどもがいても
君の手足を弛緩させ
肺に海水を流し込むような
深い、ふかい
群青の眠りに
絡まる髪を持ち上げた突風
巻き昇る、のぼる
白い首の分解と
散花

2007/07/03 (Tue)

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