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[13] 上手な家への帰りかた
詩人:min [投票][編集]

油をひいたばかりの床に
児らの笑い声が散らばっていたので
つまんで手の平にのせたら
ころころとふるえて弾けた
遠き山に、日は落ちて
白墨を移した袖口に
西日との混濁を見る

小さな胸に
しっかと抱いた
獣の温みが
清らかなままで
いられるすべを
あなたがたは確かに知っている。
あるいは分け与えることを、

黒板の角から、角へ
妬みと憎悪、それからかなしみを敷き詰めて
撫でるように消してゆく
小さな机に降り注ぐ
あなたがたの声が
明日も湿らないよう

獣の肥大した自我が
背を食い破り
臓物の匂いを細胞に刻む。
その温みを清らかな喜びとして背負うことの
美しさよ、

木枠の窓硝子に
児らの笑い声が張り付いていたので
つまんで懐にしまったら
私は私の涙に許されていた
遠き山に、日は落ちて
白墨を払うように
わたしは祈る

2007/10/03 (Wed)

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