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[5] 帰路、初冬
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寒水石を撒いたような
しんと張った朝を
踏みつけるとき
その音は確かに、
あたしだけのものに
なっているのだけれど

柔らかな雪が
肩に濃淡をつけて
立ち止まってしまいたい、のに、
振り向く前に
外灯を消されたことに
気がついて
慌てて、睫毛にかかる雫を払う

じっとこらえてきた思いは、
吐く息の白さに
まぎらせて
伝えられると、
思った。

袖がじっと重くなるのを
見てられなくて
逃げ出すように、
今日も、また
足音だけを響かせる、帰路

2006/11/25 (Sat)

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