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たかし ふゆの部屋


[36] かおり
詩人:たかし ふゆ [投票][編集]

モーニングペーパーを開きながら
ラウンジに揺蕩う
コロンビアの苦い香りが鼻をつつくのを感じている

海の向こうでは亡国者が暗殺され
直ぐ近くでは吉祥寺が自由が丘に迫られ
目の前では、冬が眼をこすりながら横たわっている

気配はいつもゆっくりと浸透する
たとえば
鳥の鳴き声のトーンだとか
ゲストハウスに集う外国人旅行者だとか
ただ
いまだ姿も輪郭もハッキリと見えない
世界が塗り変わっていく時は
香りだけがする

満員電車の車窓
17才
ユウコさんの前髪



揺れ、少しずつ変容するものを
指先の感触だけで感じている



2017/02/19 (Sun)

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