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黒夢の部屋


[117] 離れた場所から
詩人:黒夢 [投票][編集]

『好きです』

口にするだけで、まだ胸が痛む。



思い出だって関係だって

会えなくなったと知った時、忘れたつもりでいた。



人伝に話を聞くだけで、その名を口にするだけで

蘇る、懐かしい思い出。

脳裏をよぎる、愛しい面影。



『元気ですか?』

『新しい生活はどうですか?』

『まだ私の事、覚えてくれていますか?』



忘れたつもりで蓋をした、哀しく安堵する想い。



想うだけで満たされていたあの日。

話をしただけで喜んだあの時。



今は互いの距離がどれだけ遠いかさえも

分からなくなってしまった。

募る想いにひたすら気付かないフリをしている。



怖いから。

隠した想いに気づいてしまうのが。

隠し続けたい。



駄目になってしまいそうなんだ。

このまま君を忘れたフリを続けたら。

君に好きだと伝えたい。




消える事ない想いを消そうとする心と


それを拒もうとする、矛盾した心。




思い出の中の君の笑顔でさえ

    複雑な心情に邪魔されて

        ぼやけて見えるよ。

2005/05/28 (Sat)

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