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黒夢の部屋


[67] 携帯電話
詩人:黒夢 [投票][編集]

一つのメモリを小さな液晶画面に表示して。
「YES」と「NO」の間で僕の指は止まる。

人間は酷く臆病だ。
たった一つの結論を
いつまでたっても導くことが出来ない。

世の中は便利になったものだ。
ボタン操作一つで、全てとの繋がりを断つことが出来る。
それは君とだって同じ。

こんなものが残ってるから、いつまでも忘れられない。
ああ、始めからこうしていればよかった。

水の中に沈んでいく鉄の塊が、酷く虚しい。

これでもう、迷う必要もない。
「YES」と「NO」の選択で、悩むことはない。

悲しくなんかない。後悔なんかしていない。

目頭が熱くなって。

伝う涙は、目にゴミが入ったことにしておこう。

痛むのは

この胸の奥。

2005/03/04 (Fri)

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