詩人:あやめ | [投票][編集] |
また今年も冬がやってくる。
あの頃の私は正直、自分の若さを怨んでいた。
どうして、もっと早くに生まれなかったんだろう。
どうして、もっと早くに出会えなかったんだろう。
本気でそんなことを思っていた。
私が彼への思いに気付いた時には、すでに彼とともに過ごす時間はごくわずかに限られていた。
だから、ほんの少しでもいいからあの人のそばに居たかった。
あの人とは結ばれるべき運命ではなかったのだ。
でも当時のあの人だから私はあんなにも好きになれたんだろう。
そうでも思わないと、私はいつまでも自分の若さを怨んでいたと思う。
私には逃げるしかなかった。
だから、どんなに私の思いが通じなくても、自分の事を見てくれなくても、私はただ一緒にいるだけで幸せを感じていた。
彼とよく話した場所が電車から見えた瞬間、涙が溢れ出した。
涙はただ溢れるばかりで、止まらなかった。
涙と同時にあふれ出た感情もあって、涙をとめることが出来なかった。
それからあの人を忘れるために一生懸命働いて、体を壊した。
思い出すことよりは辛くなかったから働いた。
それでも、あの人を忘れることが出来なかった。
いつだったか、忘れられなくてもいいんじゃないかって思えるようになった。
それだけ本当にあの人のことを思っていたんだって。
彼と出会って約2年。
最後の別れから、もう1年近くになる。
彼と一緒の時を過ごしたのはたったの2ヶ月足らずだった。
そんなことを思い出した。
また今年も彼と出会った季節が、彼と過ごした季節がやってくる。
今年も彼を思い出して感傷にひたっているのだろうか。