詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
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こころはいつも嘘を
重ね着して強くなる
逃れられないならば
何度でも歌う
虹をくぐる鳥よ
滝を飛び越す鮎よ
その閉じた瞳(め)で
わたしのために泣いて
海を渡る蝶よ
闇を恐れぬ蝉よ
その触角で
わたしの歌を聞いて
懐かしい歌だといいね
記憶を閉じた螺旋を
刃物よりも恐れてる
冬に蒔かれた種は
契りを疑う
毒を抱いた草よ
友をなくした猿よ
その憎しみで
わたしの爪をなめて
過去を運ぶ蟻よ
枝を捨てた鳩よ ※
その醒めた目で
わたしのからだを見て
あんまり美しくないね
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※ノアの洪水の伝説に拠る。