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カクレクマノミの部屋  〜 投稿順表示 〜


[21] オーバーレイを越えて
詩人:カクレクマノミ [投票][編集]

表情すら
吐く言葉さえ曇ってきた
月はこんなにも綺麗なのに
星も輝いているというのに

僕は忘れ物が多い
戻って取ってこれるものなら
すぐに走って取ってこれるだろう
いつしか目を瞑って他の物で目くらまし

見えていない
見えていないと自己暗示の日々
忘れた
忘れたと言って一刻逃れる

本当は全部覚えている
細部に至るまで詳細に

成長は疾うの昔に止まっていて
止めたのは自分だと知っている
諦めた自分を肯定して逃げた

胃液を全部吐き出すようには上手くいかなくて
本当は毎日声が枯れるまで叫び続けたかった
喉元から頸動脈まで貫いて思考を止めたかった

けれど違かった
それは違かった

目で追えないほどに可能性は転がっていて
手を差し伸べてくれる人たちだっていた

もう逃げることに疲れた
言葉すらままならない程に戦ってみようと思う
ここからは僕と戦ってみようと思う
二度とは負けない
捨ててはいけない




2012/08/03 (Fri)

[22] 水槽の泳ぎ方
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ひとつあげるからふたつ頂戴

憤りの先にはただの空間

これが良い、あれは悪いと漏れてく空気

決断の指針さえイカサマの賽

手のひらの上で遊んでいるようなもの

そんなようなもの


振り返った君はよくできた人間

振り返ることを禁忌とする水槽は丈夫な作りさね

でもよく見ると小さい穴が空いてる

気づいた君はよくできた人間

賽の振り手は杞憂ではすまなくなった

足の先にぶつかる小石は確かにそこにある

そこにあるんだよ


金魚鉢の中で横たわった金魚は何処へ

底のない瓶の中の水は何処へ

ぐるぐる廻っても結局は振り手の出目を待つか

空気中に解け出した感情をそのまま受け取るか

それは自分で決めることだよ

君が決めることだよ

何かが変わったようで本当は何も変わってない不思議な水槽

2012/09/19 (Wed)

[23] わかば
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ホントはね
何もないんだよ

実はね
意味はないんだよ

意味は誤解して生まれた想像
意義は刷り込まれた価値観

それを知って初めて100%で生きられる
悲観してる暇なんて無い
死んでる暇なんてもっと無い

120年後の後悔はここにはあってはいけない

300年後の矛盾を作ってはいけない

僕が生きてることに意味は無い
君が生きてることにも意味は無い
誰かがいてくれるのは依存と義務かもね

けれど出会った人には感謝をしないとね
優しくしてくれた人にも感謝をしないとね
自分もみんなも気持ちよく生きられるようにしないとね

人生に理由付けをするのは大歓迎
意味を見つけるのは不可能

意味は後付けの理由や憶測や蛇足とは違う

知って楽しく生きよう日本人



2012/09/19 (Wed)

[24] 冬手前
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寒い季節を迎えると思い出す
この歳になっても思い出す

1999年のノストラダムスの予言は少しだけ僕をかすめていて
僕にとって地球より大切だった人が離れていった

僕はノストラダムスに全てをなすり付けて
他の人にとっては取るに足らない罪を着せた

もう13年も経って
僕ももうとっくに大人
そこに故意はなくて
あったのはいないという現実と漠然と積み上がった時間
口では時間が短いと言っていたのに
たまにつらくなったりしてた

気づけば鉛色の毎日の繰り返しにも慣れて
出来上がったその他大勢のエキストラの一人

失った諸々は忘れて
役に徹してたはずなのに
毎回夏が去ると思い出す

昔あった恋



2012/10/27 (Sat)

[25] グリーン
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東京ではもう桜が咲いたという
僕の街はようやく新芽が出てきたところ

まだ少し寒い
春物の服はまだ早い

白鳥はまだ近くの池にたむろしていて
灯油を詰んだトラックもまだ走ってる

何十回もの冬を越えて
何十回もの春を迎えて
今の僕と見比べる

些か成長したかな

今年は始まったばかり
けれどすぐ終わるのでしょう
一年なんて神様のあくび

あくびをしている間に過ぎていく
つられてあくびをしないよう
一歩一歩踏みしめて歩きたいな







2013/03/19 (Tue)

[26] 春に溶ける
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冬の重りも過去の様
人それぞれ重い軽いはあるけれど
春には溶けてしまってる

瞬く間の一日が積もり
瞬く間に溶けていく
春夏秋冬の積荷は溶ける

冬には秋の積荷
夏には春の重荷

肩に残った荷物の余韻は
溶けるべきではない事の表れ

何が溶けるか
何を溶かすか
詮索してもやがては溶ける

把握の範疇はすぐに越えて
一瞬で積荷は過去の産物

余韻を大切にする人の中で
一人また一人と下ろしていく

コントロールは過剰な自信
分からないことを認めない

溶けた雪は溶けたことに気づかない
気づく間もない一瞬の出来事

美化の後の神格化
それもいずれは溶けてしまう

知っていても早めたい融解
そんな思いもすぐ溶ける

余韻だけでも残らないかと期待して
少し経てば溶けてしまってる

繰り返された果てに辿り着きたい春



2013/04/05 (Fri)

[27] なんとなく、人間。
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なんとなく産まれて
なんとなく育った

なんとなく飯喰って
なんとなく眠る

なんとなく人に優しくされて
なんとなく人に優しくする

なんとなく怒ってはなんとなく泣く

なんとなく生きてる
それで人
みんな同じ

なんとなく楽しんで
なんとなく悲しんで

なんとなくそろそろかなって時
なんとなく死んじゃうんだから

適当になんとなく生きてていいんだよ




2013/04/18 (Thu)

[28] 星に願いを
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非日常を思い描いても
つま先より頭の頂まで日常に浸かる
変革を望んで変色させた心はろくでもない日常を回す

早々に芽生えさせた感情は偶発的なものと錯覚
想像に力を加えただけのもの

唐突に口先を転がる薄っぺらい言葉は
往々に見つかる薄っぺらい僕

忘れたいことを春風に吹き飛ばしたつもりでも
初夏の風で舞い戻る

雪解けの川に流し捨てたつもりでも
波となって海岸に打ち寄せる

いつの季節も後悔と相対して
罪悪感をも取り込んだ記憶の一撃で膝から崩れ落ちる

いつの季節か完璧に溶けきってくださいますようにと願う
初夏の夜




2013/05/27 (Mon)

[29] 愚かな自分
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様々渡りて時の河
隠し隠され人の中
流れた先で露見する
薄く固い鉄の皮


叩く者は数多く
壊した者は無に等し


歩みを寄せた葉の中で
自身も葉だと気付かされ
流れ流され打ちつけた
葉先は疾うに丸い後悔


渡った先の葉っぱの溜まり場
一葉一葉去ってく港
残りの葉っぱは惰性か怠惰
それも悪くはないのかな


頭をよぎる一縷の過ち
葉は一様に暖かけり
一枚一枚思い出し
残りは何もしない後悔


淘汰されないことの苛立ち
悪は全て根のない葉っぱ
枯れて気付くは愚かな自身
皆暖かかったよありがとう

2013/06/10 (Mon)

[30] 未来の今
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青空に向かって僕は竹竿を立てなかった
それは未来のような今だった

決まっている長さを越えずに
そこまでだった

青空にも溶けなかった

決まっている長さを超えたかった
どこまでも

どこまでも青空に溶け出したかった

決まっている長さを超えたかった
どこまでも

どこまでも青空に溶け出したかった



青空の底には無限の歴史が昇華している
僕はそれに加わろうともしなかった


青空の底には永久の勝利はない
僕はそれを知っていた


青空に向かって僕は竹竿を立てなかった
それは未来のような今だった

決まっている長さを越えずに
そこまでだった


そこまでだと知っていた



残った願いは
放置した竹竿が横にでも伸びていれば、
と思う希望という名の浅ましさ










2013/08/03 (Sat)
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