| 詩人:カクレクマノミ | [投票][編集] |
降る雨に思いを馳せたり
水たまりに自分を重ねた日々は懐かしい過去
あっという間に過ぎた日々は水のように流れ
軽い木の枝みたいな僕はすぐに流されてしまった
その流水すらも錯覚の範疇
その雨量でさえ奇跡的必然
圧倒的な存在の前に僕らは感謝を述べることを美徳とする
必然が重なって偶然など無いと知る
選択は任されて
後悔もそれに沿う
どの道に進んでも
結果同じようなことになるならば
せめて自己満足の虚像を確固たるものにさせて
そう願ってみることにする
多分叶うのだから
誰もが今まで良しも悪しも叶えてきたのだから
僕もそうだったのだから
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日々の連鎖に終止符を打った
常識は積み上げた砂山のよう
普通は自分で打った出る杭の残骸
揺らぎの先に見えた平穏を探して
僕は迷うふり
迷っていないと知っているのは僕だけ
空想の秘密が力を持っているとは思いもよらない
偶然の出来事に翻弄される日々
違った解釈のリアリズムと大衆文化
あんまり意味が無いんだ
一番の疑問は存在
僕の状況も空想の範疇
次はどれを描く
次は何を思う
凡庸な奇跡の横に寝転ぶ僕は
貴方から見れば価値の無い者
その価値すら危うい基準だと知る者はあまりいない
被害者面を剥ぐことができれば見せられる
物語も日常も加速する
勿体ないなと思いつつ
絵空事をぶら下げた僕は眠る
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木が木であるように
石が石であるように
人もまた、ただの人
何かを拾っても
何かで身を固めても
何にもなれないのです
なった気になっているだけなのです
誇ることなんて生きていることくらいで充分なのです
死んだ後に気づいても遅いのです
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一日を何度も繰り返して
もう僕らは数え切れない程に集めた
その内のどの一日だってまともに覚えちゃいない
不都合はないけど
悲しみがちょっと
あの人の名前はなんだっけ
とっても良くしてくれたのになぁ
あいつと笑い転げた話ってなんだっけ
不都合はないけど
悲しみがちょっと
楽しかったこと
悲しかったこと
その感情は残ってる
だからこそみんな戻りたいと言う
テレビに映ってるあの怖そうなおじさんも
そこのレジで揉めてるおばちゃんにも
楽しい時はあったんだよ
世間は安定や名誉や地位が素晴らしいものだと言ってる
自分たちの歩みの正しさを確認するかのように
ただね、拾いすぎると重くなって大変だよ
君が君じゃなくなってしまわないように祈ってる
君は君のままで素晴らしい
何を持っていなくても恥ずかしいことなんてこれっぽっちもない
抱いた夢にも恥ずかしいことなんてこれっぽっちもない
だから下を向かないで
君が笑われる前に俺がもっと馬鹿みたいなことをしてやる
世界よ、俺を嘲笑しろ
他の人が泣かないように
君が君であり続けられるように
俺以外を嘲笑したら絶対に許さない
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悪は僕たちの中に
善も僕たちの中に
自身を正しいと思うことは悪いことではない
他人を否定することが悪いことだと思う
悪は僕たちの中に
善も僕たちの中に
どのみち最期の時はくるのだけれど
いつでも僕らは心を欲してる
お金を使えば人は買えるけれど
心までは買えない
悪は僕たちの中に
善も僕たちの中に
人生なんて一瞬だ
私利私欲に走る意味が分からない
誰かを蹴落とす意味はもっと分からない
悪は僕たちの中に
善も僕たちの中に
ごはんがありがたい
風呂がありがたい
物もありがたい
話せる人がいる
この上ない幸せ
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やけに高い壁を感じるのです
それは言語のとか語彙力とかの壁ではなくて
伝えたいことが伝えたいように伝わらないこと
感情は表に出せば伝わるけれど
感覚はどうしても伝わらない
厚すぎる壁を感じるのです
僕は考えずに話します
それに考えを巡らされても困るのです
僕は怒っていないのです
僕があなたになれないように
あなたに僕はなれないのです
何を言ったところで言葉はいつも受け手の都合に添います
だからこそ僕は言葉をそのまま受け取ります
なにも考えずに受け取ります
僕の放つ"愛してる"は嘘臭いでしょう
嫌になります
言葉の嘘臭さ
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青空に向かって僕は竹竿を立てなかった
それは未来のような今だった
決まっている長さを越えずに
そこまでだった
青空にも溶けなかった
決まっている長さを超えたかった
どこまでも
どこまでも青空に溶け出したかった
決まっている長さを超えたかった
どこまでも
どこまでも青空に溶け出したかった
青空の底には無限の歴史が昇華している
僕はそれに加わろうともしなかった
青空の底には永久の勝利はない
僕はそれを知っていた
青空に向かって僕は竹竿を立てなかった
それは未来のような今だった
決まっている長さを越えずに
そこまでだった
そこまでだと知っていた
残った願いは
放置した竹竿が横にでも伸びていれば、
と思う希望という名の浅ましさ
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様々渡りて時の河
隠し隠され人の中
流れた先で露見する
薄く固い鉄の皮
叩く者は数多く
壊した者は無に等し
歩みを寄せた葉の中で
自身も葉だと気付かされ
流れ流され打ちつけた
葉先は疾うに丸い後悔
渡った先の葉っぱの溜まり場
一葉一葉去ってく港
残りの葉っぱは惰性か怠惰
それも悪くはないのかな
頭をよぎる一縷の過ち
葉は一様に暖かけり
一枚一枚思い出し
残りは何もしない後悔
淘汰されないことの苛立ち
悪は全て根のない葉っぱ
枯れて気付くは愚かな自身
皆暖かかったよありがとう
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非日常を思い描いても
つま先より頭の頂まで日常に浸かる
変革を望んで変色させた心はろくでもない日常を回す
早々に芽生えさせた感情は偶発的なものと錯覚
想像に力を加えただけのもの
唐突に口先を転がる薄っぺらい言葉は
往々に見つかる薄っぺらい僕
忘れたいことを春風に吹き飛ばしたつもりでも
初夏の風で舞い戻る
雪解けの川に流し捨てたつもりでも
波となって海岸に打ち寄せる
いつの季節も後悔と相対して
罪悪感をも取り込んだ記憶の一撃で膝から崩れ落ちる
いつの季節か完璧に溶けきってくださいますようにと願う
初夏の夜