ホーム > 詩人の部屋 > アラタの部屋 > 泡にナイフ

アラタの部屋


[1] 泡にナイフ
詩人:アラタ [投票][編集]


優しい、ときみは言った

でも、わたしはきみじゃないから
きみがいま感じている苦しみを理解することができない

きみのいたみも、
ただ想像することしかできなくて

どうすればきみを救えるのか
どうすることがきみにとっていちばんいいのか
よく分からない


きみの世界をみることはできても、
きみの世界を感じることはできない

おなじ瞬間に泣くことができなくて
おなじ瞬間に笑うことができなくて


きみとわたしは どこまでも、
残酷なまでに他人だ
現実を鏡でそのまま映したみたいに、たしかなものとして別々


よろこびを伝えるきみは硝子細工のようで
どこかで涙するくせに、
苦しいとは言ってもくれない

わたしはそれがくるしい

2007/03/23 (Fri)

[前頁] [アラタの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -