詩人:あいる | [投票][編集] |
眼を閉じないでキスをした
遠い夏を目指してたら
いつのまにか
追い越しちゃってて
水っぽくなった麦茶は
あと一息で
水にはなれなかった
夏服が透かした虚栄心は
はるかに薄いブルー
恋なんてまっさらよりは
濁るホワイト
曖昧だから
美しいものがあるんだよ
君は洗い上がりのシャツみたいに知らん顔してる
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一番傷ついたの誰だ
暗号を解きたくて
今日も君を見てる
綻びを縫い付けたら
余計にボロく見えるんだ
一番じゃなくていい
笑えるから君もボクも
壁はたくさん越えたけど
まだドアは見当たらないんだ
継ぎ接ぎの糸は何色にしよーか
塞いだ穴も壊した鍵も
難しい言葉じゃ開かないんだ
首からぶら下げて
胸の辺りに君がいるよ
心臓の暗証番号は
2文字でいい
君でいい
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ミカンを剥いて爪が黄色くなってタイムスリップ
行こうかな
隣人のイヤフォンから洩れる細い痛み
天才が剥離、
そのメッキを抱いて抱いて
薄力粉みたいな憂鬱のペダルが対称的に回るボクの上
擦り寄る黒猫は
ミルクの匂いがした
どこまで逃げたって
上手に隠れたって
陽はまた昇る月は沈む
君の手を追いかけて飛ぶよ
膝を擦り剥いて傷はオレンジに染まってタイムスリップ
行こうかな
手紙を入れたボトルみたいに投げた瞬間にゴールは見えてた
発色する天秤は重りなんかのっちゃいなかった
君の下敷きに反射した光の影は
プールの水面によく似ていたんだ
シンバルの一撃にかけて
いま、世界を産むよ
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君が跳ねる度に
白いワンピースに泥が跳ねてく
ワクチンのない新しい病気だ
潜伏期間は個人差があって
でも大多数の患者が
病院なんていかない
こんな症状は
一度だけでいいから
その病に君の名前をつけよ
頬っぺたが熱を持ってるって君は笑ってた
そんな気持ちが
伝染してしまうよ
いまなら、この心臓が
止まってしまってもいいよ
レインコートも持たないで雨の中をかけていくんだ
明日は晴れるからね
きっと晴れるからね
当たらない天気予報を眺めるなら
嘘くさい運命だとかを
信じてみようか
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時間がとまっても
目配せして手探りで
降り積もっても
臆病なふりしてないで
言葉は心から盗んで行くけど
振り回されちゃあいけないよ
いつだって伝わるときは
必要なものわかりきってる
盗られたものを探すより
創ったほうが人間らしいよ
いつだって大袈裟に呼びたがる固有名詞なんて
愛でいいじゃないか
君も気に入るといいな
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君の跳躍は箱船を飛び越えて
温故知新を振り払って
その痛々しい歴史のページにアイスクリームを投げつけて
空気の抜けかけたビーチボールを廻した
ボクは待っていた
みんな飽きていた
雨も風も明日も長い間奏も
君の着地点はあの日でなくても
また君として翔べばいい
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振り返った明日はどんな顔
それを見れないでいたボクはどんな顔
大人が作ったルールを破ります少年
男の子殴りますガール
もう一度なんて
もう二度と来ない蜃気楼
あした
あさって
しあさって
あみだくじで選んでも
凶は今日
信じてない神頼み
そうやって吐いたツバ
落ちてくる雨と罰
振り返った昨日
それを見慣れてしまった人はどんな顔
夢の位置知りたくて
自分を深く突き刺したけど
抜くに抜けなくて
夢を縮小コピー
ポッケのビスケットを砕いたのは誰でもない君の手
いまを見失うのは
泣いたり笑ったりするくらい簡単で
だから自分の顔は
自分じゃ見えないんだ
ハローグッバイ
ハローグッバイ
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もしもまだあの駆けっこが
続いているのなら
このバトンは誰につなげばいい
無菌室から眺める陽動だよ
手を合わせて願わなくなったのはいつからだろう
もしも色褪せた写生会が
続いているのなら
どの景色を描けばいい
懐中時計が君と重なるよ
涙をかきまぜる手は
痛々しかった
もしもこの手が
眼を隠すためのものなら
すべてを投げ出すための
指なら
君と絡めた体温は
どこに向かえばいい
ぬるま湯みたいな横顔だよ
だからボクのひび割れた
何かに水をさしてよ
ボクらがアンカーだ
手を広げて
バトンを放り投げて
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誰だお前って飽きて
水飲んでもどっか渇いてて
靴下が片方行方不明でも
裸足なんて嫌で
独占欲強くても分け合ったほうが満たされて
賑やかなのは楽しいけど
楽しいの意味に疑問を感じていて
仮装パーティも普段から
つくってるせいか止まってみえて
自分のことも他人事のように思えて
ピンチのあとにチャンスありって
どちらも平凡に塗り潰されて
電球が1つきれても十二分に過ごせる時代は明るすぎて
今何ができるかってなんでもできるけど何がしたいかわからなくて
忘れた思い出せないのまえに心に入ってなかった
空っぽの屋上で
シャーペンの折れた芯のスピードで
ようやく時間に追いついた針が季節の芽に刺さるわけで
誰だお前って飽きて
飲もうとした水を眺めてる