詩人:あいる | [投票][編集] |
削りたての夏季氷みたく
ふわふわ煌めいてて
レースのカーテンは
まとめないで風に泳がせて
光は零れるくらいがいい
だからたまに
君に言いたくなるんだよ
ありがと
時代が進んでも
手先が発達しても
手紙は未来に送れない
机は過去に繋がらない
空飛ぶ車はどれだけ
黒い排気ガスをだすんだろ
達成する方向を
見失ないたくないな
劇的な変化は
まだ訪れてない
猫は早くも
コタツで丸くなってる
君とボクは
手なんか繋いだりして
散歩なんてしてみる
辛いことが
幸せになるための
唯一の方法だと思ってたよ
達成する方向を
見失ないたくないな
たまには
フリダシに戻ろうか
君とボクが一緒にいる
理由なんて
実はもっと単純だった
結局恥ずかしくて
二人じゃ使えない
長いマフラーみたく
ふわふわ煌めいてて
星空のした二人で回って
全部の星を
流れ星にするんだ
こんな日があったって
いいと思うんだ
願いはもうとっくに
叶ってるんだ
目がまわって
よろけたボクへ
差し伸べられた手に
ありがと
フリダシに進もう
手は繋いだままだよ
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あの日
零したのは
見つけやすい場所に隠して
君は言ってたっけ
かくれんぼは
下手なままでいたいな。
何度このドアノブを握り
君を探しにいったろう
台本通り流れる
夜の電波だけが
あの家と
この家を繋いでいた
あの日のままで
隠れてた気持ちも
淋しくなってドアノブを
開き出ていった
空を旋回して
地球をくまなく眺めて
君を
見つけてあげられなくて
ごめんよ。
諦めると許すは違うね
鬼のいない
かくれんぼをしようよ。
いつも見ていてあげる。
何度このドアノブを握り
君と同じ空気を
浴びにいったろう
君と歩いた公園で一人
見慣れた花壇に
咲き始めた花
今わかったよ
二人のために咲いてたと
思ってた花は
ただ無機質に
咲いてるだけだった
この花の名前は?
いつのまにか想いが
ボクの声を代弁したのか
ちょうどあの頃の
ボクらくらい
カップルが教えてくれた
どおりで
いい匂いがすると思った
そうか。
君と 同じ名前だ。
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君がくれたキャンディー
味がしないんだ
いくら舐めても溶けないで綺麗なままさ
幼稚なボクは口の中で
ビー玉を転がし続ける
君の悪戯に酔いしれる
君に会うから水分はとらないでおいたのに
大粒もいいところ
どしゃ降りだ
哀しみも
喜びも
拙い願いも
降りていく宝石
君は包み紙で
涙をくるんでいたんだ
もっと自分を大切にして。
君は
キャンディーをボクに渡す
ちいさいとき
恥ずかしくてさ
うまく話せなかったけど
あれでよかったよね
君が大切すぎた頃
君が見せた
初めて涙
ボクは
包み紙を持ってないよ
こぼれ降りるキャンディーを君の口元で受けとめる
君のキャンディーはなんて甘いんだろう
君とのキスに酔いしれる
どしゃ降りだ
これでよかったよね
君が大切すぎるんだ
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野良猫に石を投げる闇に
生卵をぶちあてて
十五夜の完成
グッドラック
生卵みたいな満月に
野良猫が遠吠え
猛々しく猛々しく
誰に届かなくとも
鳴き声か泣き声か
猛々しく猛々しく
もたついた足元に
ついて来ていた闇
自分の影が
ひどく愛しく見えた
疾走しよう
心優しい影が
ついて来れないように速く
これ以上
ボクのせいで
悲しむものは無くていい
何人目かの飼い主が
首に付けてくれた鈴
何か忘れてしまったような
何でついて来るんだ
嬉しすぎるじゃないか
爪は立てられずに
優しく影を撫でた
なにかが零れそうなのが
わかったから恥ずかしくて
上を向いた
ボクにスポットライト
鈴みたいな真ん丸満月まで
ボクについて来てくれていたんだね
猛々しく猛々しくは
もう疲れちゃったよ
泣けるだけ泣いてみたいよ
こんな夜
一人きりなんてないって
誰に届かなくとも
唄うように唄うように
鈴の音が
今はただただ
愛しくて
忘れてたなにかに
気がつけそうで
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六弦は希望と無謀の塊
アンプの上にたってバカ面
ゲイン最大で鼓膜を破る
乾燥した心によく染みる
オリジナルコード
思いつきだから
今日しか弾けないけど
今しか出せない音で
とびっきりで
火薬なしの武器を抱えて
スネア機関銃
バスドラ大砲
シンバルが割れるまで
今日は叩くよ
綺麗事ごと全滅壊滅
小さな波を大きなうねりに
四弦が体を貫通
とどめの重低音
マンモス並の存在感で
うねりを
巨大な津波に変える
きっと月では
地震が起きてる
震源地目の前
臆病を切り刻む
マイクをオンにして
ボリュームはあげすぎて
つまみが取れちまった
ハウリングがどーしたって
スピーカーに
頭突っ込んでろ
音譜の譜線を
ハンモックにして眠る毎日
こいつらといる
この日々が歌になる
時間がとまらねーから
今があんだぜ
スポットライトが
シンプルに眩しい
カウントが始まった
スティックの
乾いた音が好き
息を吸い込んで吸い込んで
自分自身に向けて叫んだ
今しか出せない音で
今しか出せない音で
今しか出せない音で
伝染したバカ面四人で
いっせいに飛び跳ねる
この星じゃ
わかってもらえない
月では
アンコールが起きてるのに
ブーイングの嵐の中
バカ笑いで
ハイタッチを決める
みんな、ありがと
今しか出せない音で
クソ真面目に遊びたおそう
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錆びた指先
祖父母のしわ
永く浸かれば浸かる程に
おいしくなる梅酒
不味いけどね
青い頃が青春なんだって
伸びた指先
土をいじる
何億生きても
この星は子供なんだってさ
もう綺麗な言葉だけじゃ
日記は描けないんだ
最後の日に君やボクが
生まれた意味が
わからなかった
枯枝の様な祖父母の老体は
この星に根を張り巡らせた
人生なんか
わかっちゃいない
今が青春なんだって
祖父母の夢は
土でいいんだって
すべてと繋がって
また二人で生きるんだよ
ボクらは
これでいいんだね
何かしらと
繋がれて生きるんだ
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「肌色ふーせん」
君に会えたことだって
偶然じゃないの
生まれたときから
君に会いたかった
君だけの二人
その二人は、ぼくそのもの
二人は一つ
他じゃ駄目
代わりは居ない
朝つゆに浮かぶ
肌色風船
二人でいるときの
君のこと
「ふわり天空に打ち上げよう」
気分たかだか雲走りして
露霧オードブル
吸い込むの
(うっすら七色の香りだよ
小春日和の冬の日や
冷やっこい春の早朝とか)
元気出せるよ
愛は
足りないくらいで ちょうどいいの
互いが
大切さに気がつけるように
会えるのも
今は、 たまに だから、
思いっきり甘え合おうね
キスは下手なままでいいの
込めた想いは
君だけに伝わればいいから
はにかみが、かっこいいってさ
濃い思いが中に詰まってるものだから
そうして、
見た目より、
ちょっと見えない
接点ポイントを優先するんだ
二人だけの秘密まで行かない、内密
見ても分からない
感じさせたら分かるかも
惚れ惚れする
裸の御姿
すっきりした たたずまい
君がその気になりさえすれば
二人は晴れの日の御輿かご
で、
嫁入り道具を抱えて輝く そんなのも、いいかもね
君の脇をつついて
笑顔をもらいたい な〜んてさ。
お伽の国の話だと、遠巻きに思ってた
でも、今、頬っぺつねると、痛いんだ
(なんでもない普通の時間で、
身の回りは、なんてことはないし、
なんにも ないけど)
今日を記念日にしよう
二人の日にしよう
ちょうどよく、
春と秋を折半、
いいとこどりした季節が
今、新たに生まれる
朝つゆに浮かぶ
肌色風船
ふと見た手元では
てのひらを重ねて
手を繋いで 遥か彼方を眺めながら
「あ〜、君の手が冷たくてよかった」なんて想うんだ
なぜって、
あと何十年もかけて
ゆっくりと温めていくんだから
じっくり行ける
しぼまない風船は
いつか
どの日も
もし、見えなくなったとしても
此処にいるじゃない
しっかりと、さ
ね!
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三次元の世界すら
把握できずに
平面で重力を忘れた
地球の自転の力に
ついていけず浮遊する
表裏の或る面の皮
その中間に潜み
バランスが保てず
鬱と手を繋ぐ
もったいぶらないで教えて
世界を悩ませる普通の定理
答えのない偏見に
拳は宙を舞う
幸せと不幸せを読み上げるニュースキャスター
もったいぶらないで教えて
ボクとボクの距離
涙もなしに
簡単に読み上げてみせろ
きまぐれに太陽も
夕焼けてるのかい
思考回路を凌駕する夕日
眩しいのにボクは
それから眼が離せない
平凡でいいと世界が言った
平凡がわからないと
ボクは泣いた
ブラウン管の中で
まだ何か話すキャスター
仰げば早くも
星が煌めきはじめている
泣きやんだのに
ボクは
それから眼が離せない
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光をとらえるなら
必ず暗闇が必要だった
日々を掻き混ぜたのが
この有様だろ
ボクの視力はチョイ悪
流行りらしいから
気にはしてないけど
君がよく見えないんだ
繋いでいる手は君のかい
吐く息も白くなってきた
フキダシのような息は
無言で流れていく
君がさよならって
言ったきがした
君が見えなくなってきた
雨の日に聴く音楽は
君と決めたけど
君がいなくなったときに
聴く音楽は
決めてなかったね
じゃあ、
君の歌を唄うよ
この声をたよりに
戻っておいで
白いフキダシはどんどん
夜空に吸われていく
アンコールと言われた
暗闇の中でも
確かに光るよ。
君が言ったきがした
涙でなにも見えないよ。
アンコールに答えなきゃ
ボクが君の光になるよ。
ボクが君の光になるよ。
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cheap cakes
自分で作りあげた
きれいな幻
その後に残るのは
保存の効かない感情
何をしても
物足りないんだろ
青春ってやつは
炭酸
一気飲みしたから
味もなんも
わかってないって
刺激を飲み干してむせてる
味を確かめたくて
何度でも手を伸ばすよ
そんなんの繰り返し
いつも理想の先には
現実が待っていて
後片付けに手をやくんだ
cheap cakes
自分で壊しにいった
きれいなガラクタ
その後に残るのは
保存の効かない感情
バースデイケーキも
暗い部屋のなか
炎を消すまでが楽しくて
そのあとのことなんか
何も考えちゃいないのさ
いつも食べきれなくて
えぐられたケーキが
責任とってよって泣いてる
僕らはきっと大人の意味も知らずに大人になるんだよ
見なかったことにして
俯いてケーキごみ箱に
投げ捨てた
cheap cakes
自分で作りあげた
きれいな幻
その後に残るのは
保存の効かない感情
忘れかけた頃にさ
君と灯したロウソクが
出てきたよ
君との幸せが
フラッシュバックして
僕は胸が苦しくてむせてる
cheap cakes
自分で作りあげた
きれいな幻
その中に灯るのは
いつだって君の横顔