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あいるの部屋


[291] 不時着
詩人:あいる [投票][得票][編集]



触れれば煩わしくて
離れればもの足らなくて
満たされることなんてなくて
足りないくらいが丁度よくて

君と夏の終わりにしたキスは
線香花火の火種が水に着地したときと同じ音がした

濡れれば煩わしくて
渇けばもの足らなくて
癒されることなんかなくて
何が足りないのか
年々その輪郭は明確になっていく

弾むような雲も
下手くそな水切りも
エコーのかかりすぎたマイクも
蚊に刺されたところにつけた十字の印も


全部が薄められていく夕景

いま命をまっとうして
投げたタバコが水に着地するときには
君と夏の終わりにしたキスの音がするんだろう



2018/09/09 (Sun)

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